企業内でどう生かせる? コピーライティングのスキル

メーカーなどの一般企業においても広告クリエイティブなどの専門職経験を持つ人が活躍するケースは多い。ぺんてるの菊池寛氏もその一人。デザイナーとして経験を積み、さらに「宣伝会議コピーライター養成講座」でコピーも学んだ同氏は、ビジネスのなかで「ことば」の力をどのように生かしているのだろうか。

※本企画は「宣伝会議コピーライター養成講座」開講65周年を記念したインタビューです。
※本記事は、2022年9月1日発売の『宣伝会議』2022年10月号の転載記事です。

ぺんてる
グローバルEC事業本部 クリエイション課
菊池 寛氏

1998~2003年まで広告制作プロダクション等でグラフィックデザイナー、2005~2008年まで情報通信機器メーカーでインハウスデザイナーとして従事。2008年にぺんてる入社。2021年まで店頭販促、パッケージデザイン、VI・CI等のアートディレクション&デザイン、コーポレートウェブサイト、オウンドメディア、公式Facebook、公式Twitter、公式Instagram運営などに従事。2021年よりAmazonなどEC全般に携わる部署にて総合クリエイティブ業務に従事中。

 

ことばでコンセプトをつくる重要性に気づいた

——菊池さんはデザイナーとして経験を積んだ後に、メーカーである、ぺんてるさんに入社されたのですね。はい。2008年にぺんてるにデザイナーとして入社し、販促物やパッケージのアートディレクションや、Webサイト、オウンドメディア、SNSの運営など、ユーザーとのコミュニケーションに関わる領域に携わってきました。

2021年からはグローバルEC事業本部のクリエイション課に異動しました。主な業務内容は、例えば1SKUごとの商品画像を大量に制作するにあたって社内に撮影室を完備しスピード向上したり、クリエイティブが実際のEC売上げにどこまで影響したか効果検証したり、メンバーと一緒に総合的にEC業務の向上を図っています。

——デザイナーでありながら「宣伝会議コピーライター養成講座」を修了されています。

当社では、デザイナーもマーケや企画の人と一緒に企画開発を行うケースが多かったんです。そのなかで、マーケティングやことばの重要性を磨いていかないとまずい状況になったため、手始めに宣伝会議のマーケター向け講座に通い、さらに専門性の高い「コピーライター養成講座」を受講しました。

双方の学びを得るなかで気づいたことが「ことばでコンセプトメイキングすること」の重要性でした。

商品企画開発に携わる社内の関係者は大変たくさんいます。当時、商品企画の意味づけを各セクションで様々に行ってしまうことが多々ありました。それぞれが主張したいポイントが状況や立場によって異なってしまい、なし崩し的に着地点が誕生するマーケティングやデザインが当たり前のようになっていたのです。

そこでまず、ひとことで言えるコンセプトを企画開発の川上に置いて、可能な限りすべての活動の着地点にできるような仕組みづくりを行いました。時間はかかりましたが、新製品を販売する際のこの工程が、結果的にデザインやマーケティング、PR、SNSなどでのフラッグシップになっていくことを、関係者及び自分自身もリアルに実感することができたのは幸運だったと思っています。

当社は数ある文房具メーカーの中でも、特に技術力に強みを持って成長してきた会社だと考えています。商品の機能価値をコアに、どのようにコミュニケートしていくか?というのが先輩たちのお手本。そこに我々世代がことばによるコンセプトメイキングを加えて、ベネフィットやインサイトなどの情緒価値にも気づくキッカケにもなっていきました。

機能価値と情緒価値のバランスを取りながら、コンセプトをまとめていくこと。商品企画開発では当たり前のことかもしれませんが、当社のようなメーカーでは、極めて大変なことなのではないかと思っています。

——以前はSNSの運用にも従事されていました。お客さまとのコミュニケーションにおける、ことばの活用についてはどのようにお考えですか。

現在の部署では、ECサイト上のレビューに着目した活動を開始しています。AIを活用したテキストマイニングで、お客さまの声から、商品にどのような傾向があるかを部署内の専門家が分析。その結果をもとに訴求文言や商品画像などのクリエイティブに反映させるということを行っています。当社の筆ペンや製図用シャープペンシルなどのロングセラー製品には、3000~5000ものレビューがついているのですが、これまで実際に活用できていませんでした。

メーカーにとって、ロングセラー商品などの既存商品は、センセーショナルに登場する新製品以上に実際の売り上げを支えている屋台骨。にもかかわらず、予算が投下されにくく販売方法の刷新もしづらいもの。そうしたなかでレビューを解析することで、新たな既存商品販促につながってくのではと考えています。

——オウンドメディアなどで、ユーザーの会話を生み出すきっかけづくりもされていました。

「ノック式シャープペン」、「合成樹脂を配合したシャープペン替芯」の発売60周年のタイミングでは、note公式アカウント「ぺんてるシャープペン研究部」を開設しました(現在は「休部」中)。当社のようにロングセラー商品が多いと周年のポイントも多い。そこで、瞬間風速的に終わってしまうイベントではなく、情報が蓄積していくコミュニティを作ってみよう!となりました。

シャープペンシルや替芯に関わる社内外の物語は、深く濃い内容になることが予測されましたので、当時話題になっていた「note」を使い、様々な方の声を「テキストと画像」で残していくことに。

シャープペンシルは、多くが中学生から大学生と、人生の中で多感な時期に長時間触れるアイテムです。そこで誰しもが通ったであろう思い出の時間を「#忘れられない一本」というタグで、まずは社員からリレー形式で記事を投稿していきました。それに触発された読者の方々が同様に記事を上げてくださり、最終的にとても盛り上がりました。

その他にも様々なコンテンツがあるのですが、活動は1年間で終了しました。周年施策として新たなチャレンジとなり、かつその活動で拡がった領域や人間関係が、現在の施策に生きています。この活動に携わった方々には感謝しかありません。

ひとことで言い表すスキルはどんな場面でも役に立つ?

——コピーライティングを学んで変わったことはありますか。

私自身、オンもオフもどちらかと言うとはっきりモノを言いすぎて、失敗してしまうタイプです。そうした特性は100%治せるはずは無く、折り合いを見つけて是正していくしかありません。コピーライティングのスキルは、その折り合いのひとつかもしれないですね。頭の中で浮かんだ直感的な考えを一旦冷静になって、かつ仕事に生かせる言語として抽出化する。このスキルは多分、私を大人にしてくれているのだと思います。

また、仕事には打合せはつきものです。そんな時に、「ひとことで言い表す」という技術は生かせると感じています。混沌とした時代、集団で業務を遂行する上で、全ての伝達が阿吽の呼吸で伝わればよいのだけれど、たいていそううまくはいかない。そんな環境下、仕事を前に進めるための「ことばづくり」は、これからますます必要になっていくかもしれません。

コピーライター養成講座

基礎コース(65周年)
【土曜クラス】開講日:2022年9月24日(土)
【平日クラス】開講日:2022年9月26日(月)

上級コース
【土曜クラス】開講日:2022年9月24日(土)

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