評価軸を理解して競合プレゼンに勝つ

【前回コラム】プレゼンに驚きや感動はいらない

プレゼンの勝敗を分けるのは、表現とは限らない

クライアントが競合プレゼンにおいて選んでいるものは、優れた内容の提案です。しかし、時には提案内容以上に、プロジェクトを共に進めていくパートナーとして信頼をおける相手かどうかを見極めている場合もあります。

クリエイティブ・ディレクターとしてクライアントと付き合う中で、競合プレゼンを取りまとめることがあります。どの会社に声を掛け、どのような内容でオリエンをし、どのような評価指標でパートナーを決定するか。これらの業務にクライアント側で取り組むと、競合プレゼンがいかに総合的な視点を必要とするものかを認識できます。

競合プレゼンは参加する側と同様に、実施する側も神経を使うのです。競合プレゼンを実施するからには、どのような場合の提案内容でも結論を出す必要があり、決定した会社と今後そのプロジェクトを推進していく必要がでてきます。

決定次第では、クライアントにとって初めて会うクリエイティブスタッフと一緒にプロジェクトを推進していくことになります。

クリエイターとして競合プレゼンに参加すると、勝つか負けるかは表現が全てだと思ってしまいがちです。しかし、それは半分正しく、半分は誤りです。なぜなら、競合プレゼンにおいて表現の配点はせいぜい50%〜70%程度であるからです。

僕がいくつかの競合プレゼンを取りまとめた経験から気付いたことは、期間が長く大きなプロジェクトの場合、アウトプット以上にプロセス全体を通じて最も適正な思考と実行力を持つパートナーが選ばれる傾向があるということです。

実際に競合プレゼンに勝ったにも関わらず、実施内容は検討し直しとなった経験をした方もいると思います。これは、アウトプットを採用したのではなく、制作チームをパートナーとして採用したということです。

オリエンを行う事業会社の心理を把握する

では、クライアント側はどのような視点でパートナーを選定しているのでしょうか?それは、競合プレゼンの採点表に現れています。

僕は競合プレゼンを取りまとめる仕事を、クリエイティブ・ディレクションにおける重要なプロセスだと考えています。このプロセスは、プロジェクトに対するクライアントメンバー内の思考の解像度を高め、メンバー内の共通認識を作っていくプロセスになります。

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室井淳司(Archicept city 代表/クリエイティブ・ディレクター)
室井淳司(Archicept city 代表/クリエイティブ・ディレクター)

新規事業・サービス開発、ブランド戦略、空間開発、広告コミュニケーション等において、企業のトップや事業責任者にクリエイティブ・ディレクターとして並走する。広告・マーケティング界に「体験デザイン」を提唱。

東京理科大学卒業後博報堂入社。2012年博報堂史上初めて広告制作職域外からクリエイティブ・ディレクターに当時現職最年少で就任し、翌年博報堂フェロー。2013年Archicept city設立。


著書:「全ての企業はサービス業になる〜変化を俯瞰しブランドをアップデートする10の視点〜」「体験デザインブランディング〜コトの時代のモノの価値のつくりかた〜」宣伝会議

室井淳司(Archicept city 代表/クリエイティブ・ディレクター)

新規事業・サービス開発、ブランド戦略、空間開発、広告コミュニケーション等において、企業のトップや事業責任者にクリエイティブ・ディレクターとして並走する。広告・マーケティング界に「体験デザイン」を提唱。

東京理科大学卒業後博報堂入社。2012年博報堂史上初めて広告制作職域外からクリエイティブ・ディレクターに当時現職最年少で就任し、翌年博報堂フェロー。2013年Archicept city設立。


著書:「全ての企業はサービス業になる〜変化を俯瞰しブランドをアップデートする10の視点〜」「体験デザインブランディング〜コトの時代のモノの価値のつくりかた〜」宣伝会議

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