メール受信設定のご確認をお願いいたします。

AdverTimes.からのメールを受信できていない場合は、
下記から受信設定の確認方法をご覧いただけます。

×

現役学生が突撃取材!広告の新しい形!?「ハライチのターン!」企業コラボコーナーの舞台裏(前篇)

share

情報、メディア、コミュニケーション、ジャーナリズムについて学びたい人たちのために、主に学部レベルの教育を2年間にわたって行う教育組織である、東京大学大学院情報学環教育部。月刊『宣伝会議』編集長の谷口優が同部で講義を担当していることから、受講する学生の皆さんと編集コンテンツの企画から制作までを実地でチャレンジ。

今回はTBSラジオ「ハライチのターン!」を取材。お笑いコンビ「ハライチ」の岩井勇気さんと澤部佑さんがパーソナリティーを務める同番組は、毎週木曜の深夜0時〜1時の放送。番組の魅力のひとつが、「広告なのに面白い」企業コラボコーナーだ。

この広告企画には、嫌われ者になりつつあるとも言われる広告が生活者に受け入れられるためのヒントがあるのではないか。そんな仮説を持って、広告営業を担当するTBSラジオUXビジネス局アカウントマネージメント一部の阿部千聡さんとTBS GLOWDIAイベントラジオ事業本部ラジオ制作部副部長で、「ハライチのターン!」のプロデューサーも務める宮嵜守史さんに、インタビューを行いました。

※本取材の企画・取材・執筆は葉いずみが、また取材は櫻井恵、野崎佳奈子、山川凱生が担当しました。

「スポンサーになってほしい!」と正直に言ってしまう

――私はいつも「ハライチのターン!」を聴いています。番組内の二人のトークがきっかけになって、スポンサーが決まることがあり、その一連の流れが番組自体をより面白くしていると感じています。番組の広告スポンサーは、どのように決まっているのでしょうか。

阿部:広告スポンサー決定のパターンは大きくわけて2つあります。ひとつは、通常通りのプロセスで私たち、営業からの提案で広告出稿が決まる場合。もうひとつが、「ハライチのターン!」ならではのパターンだと思いますが、二人のトークの中に登場した企業に提案し、広告出稿に至るケースです。

宮嵜:後者のパターンの最初のケースは、おやつカンパニーさんで、これがきっかけで「ハライチのターン!」ならではの広告企画が始まりました。
2019年の末、ハライチがTBSの年またぎ特番を担当した際、おやつカンパニーさんの社員がリスナーとしてカップ麺の「ブタメン」を差し入れしてくれました。
しかし配送事情の関係で、「ブタメン」の到着が特番の放送に間に合わず。
これに対し、特番後に放送された「ハライチのターン!」で岩井君が、「届くのが遅いよ!」「商品だけ送れば番組で宣伝してくれると思ってんだろ!そうじゃなくてスポンサーにならないと!」と注文をつけました。こういういじり方ができるのは、岩井君のキャラクターがあってのことですよね。
それを受け、おやつカンパニーさんもノリを合わせてくださって、SNSで「岩井閣下からお叱りを受け、猛省」とツイート。2020年4月30日の放送で1週間スポンサーになってくれました。すると岩井君はそれまでの態度を一変させ「ブタメン、大好きです!」と手のひらを返す対応をして、それでまたリスナーも盛り上がりました。

「ブタメン収穫祭」と題された、188回目の放送の様子を紹介する同番組紹介ページ。TBSラジオのWebサイトより引用。

――この一連のやりとりについて、おやつカンパニーの方とどのように連絡をとられていたのですか。

宮嵜:「商品が届くのが遅い」イジりをする前に、一度差出人の方に連絡し、番組内で紹介する許可は取りました。その放送にリスナーの皆さんが盛り上がり、結果的におやつカンパニーさんも喜んでくださって、何かしたいな…という気持ちになってくださったようです。
そこで「1週でもいいからスポンサーになりませんか?」と提案したところ、スポンサーになっていただくことに。その後、この事例が当社の営業担当の間で広まり、他のスポンサーさんでも番組とコラボできないか、という相談が増えていったのです。

TBS GLOWDIAイベントラジオ事業本部ラジオ制作部副部長の宮嵜守史さん。

阿部:皆さんは番組を聞いていて、コラボコーナーを広告として意識していますか。

――「広告を聞かされている」感じは、あまりしていません。番組の一部として、いつも面白く聞いています。おやつカンパニーさんの放送回で、岩井さんが「スポンサーになれ!」と直接言ってしまうなど、企業との絡みも含めて面白いコンテンツになっているからだと思います。

宮嵜:「スポンサーになれ!」というのは、確かに私たち番組スタッフの本音ではありますが…。その本音を出演者が正直に言ってしまっている点が「ハライチのターン!」ならではですよね。
かつては番組制作の美学として、ビジネス上の本音をあまり見せないでいた時代もありました。しかし今のリスナーは、スポンサーがいないと番組が続かないことも当然知っている。逆にそうした事情を言わない方が、番組への信頼感にマイナスに影響すると思います。
それであれば「正直になろう」と、岩井君の「荒んでいる、尖っている」キャラクターを借りて本音を言っています。ただ、これは深夜の時間帯だから受け入れられていることかもしれません。別の時間帯で、別のパーソナリティーだと成立しない可能性があります。

――番組のトーク内で自然発生的に登場した企業さんに広告の提案をして、協賛に至らないこともあるのでしょうか。

宮嵜:トークをきっかけに協賛に至るパターンはほとんどないです。最近、出稿いただいた「DMM.TV」さんや「ぺんてる」さんも、企業からの出稿依頼を経て協賛してくださっています。

TBSラジオUXビジネス局アカウントマネージメント一部の阿部千聡さん。

後篇記事はこちら
現役学生が突撃取材!広告の新しい形!?「ハライチのターン!」企業コラボコーナーの舞台裏(後篇)