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生成AI、本当にその使い方で大丈夫?気をつけたい著作権のポイントを解説

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昨今、生成AIの活用が世の中を席巻しています。それに伴い、自身の業務に利用している方も多くなってきているのではないでしょうか。販売促進の分野でも、生成AIを活用することでキャッチコピーの提案やイメージ画像の生成が可能になりました。一方で、利用の際には著作権などに気をつける必要があります。本記事では、生成AIを利用する場合に注意しておきたいポイントについて、弁護士の鈴木 景氏が詳しく解説します。

本記事は8月1日発売の『販促会議』2023年9月号 の転載記事です。

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写真 人物 GVA法律事務所 パートナー弁護士 鈴木 景氏

GVA法律事務所 パートナー弁護士
鈴木 景氏

2009年弁護士登録後、都内法律事務所・インハウスロイヤーを経て、2017年、GVA法律事務所参画。2020年より現職。AI関連をはじめ対応領域は幅広く、主にスタートアップや上場企業の事業伴走や法務組織体制整備を得意としている。

1. 生成AIを活用するとき気をつけたい著作権とは?

生成AIの成果物に関する著作権を考える前に、まずは著作権について、簡単に整理しておきたいと思います。

「著作権」とは、著作物、すなわち「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」に対して生じる権利です。

「著作権」と一言で言っても、そこには複数の権利が含まれています。例えば、「複製権」(著作物を複製する権利)、「翻案権」(著作物を改変する権利)、「公衆送信権」(インターネットなどにより著作物を公衆に送信する権利)などです。著作権とは、複数の権利が集まったいわば「権利の束」を意味しています。

(図1)著作権とは?

画像 著作権概要説明

2. AIが生成した成果物に著作権は発生する?

生成された成果物の著作権については、どのように考えるとよいのでしょうか?

一般的に、生成AIでは「プロンプト」と呼ばれる指示文を入力することで、これに呼応する形で成果物が生成されることになります。

前述の通り、著作権が発生するための「著作物」とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」。つまり、AIには思想や感情がないため、AIによって生成された成果物は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」には該当せず、著作権の対象となる「著作物」には該当しないものと考えられます。

そのため、単に「〇〇のキャッチコピーの案を3つ考えてください」というようなプロンプトで、キャッチコピー案が出力された場合、それについては、著作権は発生しないと考えられるでしょう。

一方で、生成AIを利用する際には、利用者が自分の意図する成果物を生成するために、何度もプロンプトを工夫し、試行錯誤することがあります。この場合、利用者は生成AIを道具として、自分の思想や感情を表現するために利用していると考えることができるため、「思想又は感情を創作的に表現したもの」として、利用者の「著作物」であると認識される場合があります。

例えば、他の事業者に販促物の作成を委託した際に、事業者が生成AIを利用して成果物を作成した場合、直ちに成果物に著作権が発生しない、ということにはならないでしょう。つまり、「生成AIによる成果物であっても、著作権が発生する場合がある」という点を意識しておく必要があるのです。

(図2)生成AI利用に関する注意

画像 生成AI利用に関する注意

3. 生成した成果物が、既存の著作物に類似していたらどうなる?

では、生成された成果物が既存の著作物に類似していた場合、生成された成果物は既存の著作物に対する著作権を侵害していることになるのでしょうか? この場合、問題となるのが、著作権のうち、前述した「複製権」や「翻案権」といった権利です。

複製権や翻案権の侵害が成立するためには、「依拠性」、つまり既存の著作物を元に作成されたことが必要になります。

生成AIは膨大な数の素材・データを学習するため、その学習データの中に含まれていた素材の一つに、AIによる成果物が類似していたとしても、それだけでは依拠性が認められるものではないと考えられるでしょう。

しかし、特定のキャッチコピーなどの著作物を示して、類似する成果物の作成を生成AIに指示したと仮定します。それによって、指示に沿って特定のキャッチコピーに類似する成果物が出力された場合……

本記事の続きは、『販促会議』2023年9月号で読むことができます。

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