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「もしも企業のSNSアカウント運用を任されたら」押さえておくべき10のこと

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企業の認知向上やファンづくりにおいて、SNSの活用が一般的になってきました。しかし漠然と運用するだけでは期待する効果が見られず、場合によっては企業イメージの棄損につながるリスクもある。そこでSNSによる効果を最大化するために、担当者が気を付けるべきポイントを、SNSマーケティングや公式アカウントの活用に詳しい5名に聞きました。

※本記事は、広報会議8月号(6月30日発行号) に掲載した内容です。

国際大学GLOCOM 客員研究員
小木曽健(おぎそ・けん)氏

複数のITベンチャー勤務を経て現職。SNSリテラシーに関する講演、メディア出演などの実績多数。著書に『炎上しても大丈夫! 今日から使える企業のSNS危機管理マニュアル』(晶文社)など。

ROC代表取締役 CEO
坂本 翔(さかもと・しょう)氏

23歳でSNSコンサルティング会社を創業。以降、様々な規模・業界のSNS施策を担当し、講演も年50本以上実施。著書に『Instagramでビジネスを変える最強の思考法』(技術評論社)など。

デジタル鑑識研究所 代表
中村健児(なかむら・けんじ)氏

警視庁初のTwitterアカウントを開設し、担当者の個性を出した運用で話題となる。著書に『中の人は駐在さん ツイッター警部が明かすプロモーション術』(翔泳社)がある。

ジソウ 代表取締役
本門功一郎(もとかど・こういちろう)氏

コムニコでSNSの黎明期から大手企業のコンサルティングなどに従事。2016年SNSエキスパート協会を設立し理事就任。2023年ジソウを設立。代表取締役に就任。

セガ 広報部副部長
山田 愛(やまだ・あい)氏

Twitterセガ公式アカウントを2012年より担当し、フォロワー数は53万超。企業広報に従事しながら、SNSを活用したレピュテーションの向上を目指した企画の立案や硬軟織り交ぜた情報発信を行う。

 
Q1 【SNSの強みを把握】

SNSだからできる広報活動は何?

 
A.中の人の人間性が見える、細やかなコミュニケーション

SNSの強みは、双方向型のコミュニケーションで企業の「人間性」を伝えられること。企業サイトなどに掲載する、整った写真や文章だけで生活者の心は動きません。SNSを活用し「こんなユニークな面もあるんだ」などとギャップを楽しんでもらうことが、企業の認知やファン化につながります。また、Instagramはここ数年、コンテンツが飽和し、投稿内容での差別化が難しくなりました。コミュニケーションこそ、差別化の肝となるため、投稿に寄せられたコメントに「中の人」の人間性が伝わる回答をしたり、ライブ配信中にリアルタイムで答えたりと、ユーザーの反応ありきの運用が求められています(坂本氏)。

 
A.硬軟織り交ぜた情報の発信 従業員の士気を高める役割も

SNS発信の強みは、硬軟織り交ぜた内容を発信し、会社のことを広く知らせることができる点です。即時性を活かし、時流に沿った自社製品・サービスの紹介や、社内や従業員などのリアルな様子やプロセスなど、まだ完成されていない情報なども伝えることができます。さらに、SNSを使用している従業員も多いことから、副次的に社内広報としても機能。社内の取り組みや従業員の活躍、メディアへの露出情報などがリアルタイムで共有され、従業員のモチベーションの刺激にもつながっています(山田氏)。

 
Q2 【目的の明確化】

目的はどのように定めるべき?

 
A.事業の目的や課題と結びつけて議論を

マーケティングの考え方を取り入れるのが一般的です。例えば「認知の獲得」「顧客のリピート化」のように、事業の目的や課題と結びつけて考えるのが良いでしょう。また「採用広報」の場合は「認知拡大」や「エントリー数の増加」などが挙げられます。ただし事業によっては、SNSの運用だけで態度変容につなげることが難しいものもあります。また、ユーザーによっても態度変容の段階が存在します。SNSだけで目的を達成するのは困難なこともあるため、事業の責任者や採用担当などとともにSNSにおける役割を決め、その上で叶えたいことを定めるのが良いでしょう(本門氏)。

 
A.目的に合わせ、定量的な目標の策定を

目的は、企業や商品の認知拡大などケースバイケース。目的に合わせ、定量的な目標も定めましょう。公式アカウントの中には、「周囲も開設しているから」と漠然と運用しているものも見られます。しかし、継続的に運用し効果を発揮するには、達成度合いが見えやすい目標の策定が重要です。定め方はQ7で回答しますが、目標の明確化は何より担当者のやる気を高めることに直結します。特に、投稿内容に「中の人」の人間性を出すと必然的に、ユーザーにその担当者のやる気が伝わるため、目標の達成度合いに合わせてインセンティブを付与するなど、社内の仕組みを整えることをおすすめします(坂本氏)。

 
Q3 【運用体制の構築】

持続的な運用のための体制づくりとは?

 
A.最適な担当者選びと専任担当者の設置を

「中の人」の人間性を伝えるコミュニケーション(Q1参照)には、SNSの担当者選びも重要です。最適なのは、自社や自社商品が好きで「その良さを広めたい」という熱意のある人。ユーザーのSNSリテラシーが高まる中、本心ではない投稿はすぐに見透かされてしまうためです。またSNSのみを運用する「専任担当者」の設置も推奨します。ほかの業務も担っていると、SNSへの工数が割けない時期も想定されますが、継続的に更新しないとフォロワーの離脱につながりますし、SNSとほかのウェブ媒体の運用に必要なスキルも異なります。「炎上」などのリスクを考慮すると、1人でも専任を設けるのがベターです(坂本氏)。

 
A.「身内の攻撃から中の人を守る体制」構築を

公式アカウントの担当者、“中の人”の悩みは、外からの批判や炎上ばかりではありません。実は組織内で「何かあったらどうする」と批判的な見方をする人による介入や妨害の悩みも多いのです。公式アカウントを効果的に活用しようと考えるなら、「身内の攻撃から中の人を守る体制」づくりが重要です。この構築はそれほど難しいことではなく、組織のトップが「SNS運用はこれが最適」と組織内で宣言すれば良いのです。(中村氏)。

 
Q4 【運用ルールの策定】

効果を高め、リスクを防ぐために決めておくべきルールは?

 
A.誤爆を防ぐ仕組みづくりや「言わないこと」リストの作成を

業界・業態にもよりますが、誤爆(SNSアカウント切り替えミスによる誤投稿)を防ぐ、物理的な仕組みは必要です。アカウントの切り替えが発生すること自体がリスクなので専用端末を用意し、個人端末は使わないというルールを定めましょう。また業務時間外は更新しないなどの規則を、開始当初には設定すべきです。アカウントにキャラクター性を持たせるのであれば、どのような性格・人物なのか、SNS担当が異動しても維持できる「設定」が必要ですし、「言わないこと」リスト(政治、外交、ジェンダー等に絡む私見など)の作成も欠かせません。これらの規則を定期的に更新する体制づくりも重要です(小木曽氏)。

 
A.運用方針とペルソナの設定を

運用方針を定める目的は、投稿の一貫性を保つため。「中の人」の人間性がブレていると、フォロワーからの共感を得られず関係性も深まりません。SNSを複数人で運用する場合には、特に留意すべきです。副次的な効果としては、方針を定めると他部署からの協力を得やすくなります。また「このような投稿をしてほしい」という依頼が方針に反する場合も説得力ある説明ができるのです。その上で策定すべき「ペルソナ(ユーザー像)」とは、「どんな人に向けた投稿か」という判断軸を明確化するもの。策定すべき項目は【図1】にまとめていますが、詳しく定めるとユーザー像の行動パターンが分かり、最適な投稿のタイミングなども把握できます。さらにおすすめしたいのは、「企業との接点はどこで、どのようにフォローしてもらい…」とファンになるまでのストーリーを描くこと。ここまで定めると投稿の質が上がり、ファンも増えていくでしょう(坂本氏)。

 
Q5 【投稿の方向性】
ターゲットの心を動かす投稿とは?

 
A.内輪受けに終始せず あらゆる層へ間口を開いた内容を

まず、「熱狂的なファンと一般層の両方に配慮できているか」「片方のみをターゲットにする場合も内輪受けになっていないか」を確認します。ユーザーを巻き込みたい場合は…

続きは、広報会議8月号(6月30日発行号) の巻頭特集「SNS “知られていない、伝わらない”を解決」からご確認ください。

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広報会議2023年8月号

「“知られていない、伝わらない”を解決 SNS」特集

入門編
SNSアカウントの運用を任されたら押さえておくべき10のこと

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