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「データで顧客を知る」ことが他社との違いを生む 顧客体験を革新につなげるプロセスとは-山名秀樹氏が講演

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宣伝会議が8月に主催した地域企業向けセミナー「SIMCリージョナル2023」の名古屋会場にて、Speee PAAM事業部シニアマネージャーの山名秀樹氏が登壇した。セミナーでは、「データで顧客を知る」ために必要なプロセスと「データ活用」を組織に定着させていくポイントを、銀座・和光の支援事例を踏まえながら解説した。

Speee
PAAM事業部シニアマネージャー
山名秀樹氏

 

年々拡大するDX市場

MA(マーケティング オートメーション)やCDP(カスタマー データ プラットフォーム)など、DX(デジタルトランスフォーメーション)にまつわるツールの市場は年々拡大傾向であり、今後も拡大すると予測されている。DXに取り組む企業が増加した背景には、デジタル庁や経済産業省がDXの取り組みを推進していることが挙げられる。一方、DXの取り組みの実態として、「お客様への新たな価値の創造」で成果が出ている企業は1割以下で、9割以上の企業が顧客体験の革新につながっていない。

顧客体験の革新が失敗する5つのポイントと改善策

顧客体験の革新には、顧客データの活用がベースにあると考えられている。しかし、ツール導入が主眼となり、高額なツールを導入したがうまく活用できずに失敗してしまうクライアントは意外と多い。この失敗に陥りがちな理由は次の5つに分類できる。


イメージ図 失敗する5つのポイント
失敗する5つのポイント

データ:データが部署ごとに散在しているためデータの抽出が柔軟にできず、統合に多大な手間がかかってしまうケースが多い。その改善策として、何のデータから統合すべきか方針を決めることが挙げられる。具体的には、各データベース間の顧客ID重複率が高いデータから先に統合するという方法。顧客IDの重複率が低い場合に比べて、統合した際の示唆が見えやすくなるのがその理由だ。

システム:多様化するツールに対し目的のツールを選定する難度が上がっている。今までは機能がシンプルだった各ツールが独自に機能を拡張し、機能のカニバリが各ツール間で生まれていることが主な理由の1つである。その打開策として、本格的なCDP選定の前にまずは安価なシステムで構築して運用してみることがポイントである。従来は全機能が搭載されたツールの使用が一般的だったが、近年は安価なシステムや既存のシステムを組み合わせて構築できるようになってきている。

ビジネスプロセス:データを用いた意思決定プロセスが業務フローに組み込まれていないケースが多い。そのような場合は、「顧客分析」「施策成果分析」が可能なダッシュボードを用意する等、データを軸に置いた意思決定ができる環境やPDCAを回せる環境を用意することが必要である。

組織:中期経営計画などではデータの活用やDXをうたっているが、現場ではデータを解釈する文化や風土がないことがある。そのような場合は、前述のビジネスプロセスをPDCAサイクルを回しながら関係者と一緒に議論していくことが重要である。関係者と議論を重ねていくことで、データを解釈する文化・風土が組織内に徐々に形成されるようになる。

戦略/戦術:データを活用して顧客とどのようなコミュニケーションをとればいいかわからないといったケースがある。そのような場合は、まずはデータで可視化された顧客を理解することが最初のステップとして重要である。そこに新たなデータを統合したり、顧客への施策を経て得た示唆を追加したりすることで顧客に対する理解が深まり、顧客とどういったコミュニケーションをとるべきか描けるようになってくる。


写真 セミナーの様子 顧客理解の深化のために、「データで見える顧客とは?」を理解することが重要
顧客理解の深化のために、「データで見える顧客とは?」を理解することが重要

顧客データの紐づけができていなかった和光の取り組み

高級時計やスイーツなどを扱う銀座・和光への介入事例を紹介したい。介入当初の和光は、店舗とECサイトの顧客データが紐づいておらず、OMO(オンライン マージズウィズ オフライン)での顧客理解や接客体験の向上に十分に取り組めていなかった。そこで、店舗とECサイトの顧客データを統合してマーケティングや接客に活かせるよう、プロジェクトマネージャーを支援するかたちでプロジェクトに介入した。

まず、分析データを元に施策の方向性を議論し、リピート客の増加と休眠客のアクティブ化を目指すこととした。次に、継続利用の動機づくりとして既存顧客向けの施策を、クリスマスケーキ販促メールを送信して行った。クリスマスケーキ購買未経験者と購買経験者というセグメントで分けて効果検証をした結果、セグメントごとにメールの開封率、ケーキの予約率に差があり、セグメント配信の有用性を確認できた。

つづいて、先述のメール施策結果をもとにメール施策検証用のダッシュボードを構築し、メール施策の効果検証を素早く行えるようにした。その他、店舗向けダッシュボード構築することで、店舗とECサイトの購入履歴を統合した最新版のデータを店舗販売員が手元で確認でき、売り場やマーケティングで活用できるようになった。最後に、店舗とECサイトの顧客データとメール配信結果を統合した「データ統合環境構築」を実施。今後は、売り上げUPやコスト削減ができるよう支援していく方針である。

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