※本稿では『広報会議』2023年11月号「訪れたくなる！観光を促す技」特集で掲載の内容を、ダイジェストでお届けします。

2023年1月、米・NYタイムズが「2023年に行くべき52カ所」を発表。盛岡市がロンドンに続く2番目に紹介されていた。それを知った盛岡市広聴広報課は市の公式X（旧Twitter）で「NYタイムズで選出」と投稿、これまでに42万回閲覧された。テレビキー局が報道するほか、メディア掲載はゴールデンウィーク頃まで続き一気に注目が高まった。

コロナ禍の影響はあるものの、GW中の観光入込客数は盛岡駅周辺で昨年同期の2割増。大幅に落ち込んでいた外国人観光客についても宿泊者数が1～7月はコロナ前2019年の水準まで戻りつつあり、NYタイムズ効果で良い影響が生まれている。

メディアからの取材切り口でもっとも多かったのは「なぜ盛岡が選ばれたのか」。盛岡市を推薦したのは、アメリカ出身で日本在住のライター、日本全国の都市を歩いて巡ってきたクレイグ・モド氏だ。NYタイムズで候補地推薦の募集があったとき、すぐに盛岡市が頭に浮かんだという。「東京から新幹線ですぐ行ける、人混みなく歩いて回れる宝石的スポット」「街並みがきれい」「自然との向き合い方がいい」「若い人、個人が店を開き頑張っている」「市民が心優しい」「健全なまち」。語られた推薦理由は、盛岡市を散策し、そこで暮らす人々と対話してきたモド氏の実体験にもとづいたものだった。

NYタイムズで掲載された翌月の2月には、モド氏が盛岡市役所を訪れ、谷藤裕明市長（当時）と面会する場も設けた。モド氏が、推薦した理由や経緯を自らの言葉で伝えたことで、この様子がさらにメディアで報じられた。

NYタイムズに盛岡市を推薦したライターのクレイグ・モド氏が、市役所で谷藤裕明市長（当時）と面会。市長は感謝を伝え、その様子をメディアに公開した。

さらに面会翌日から開始されたのが「私の好きな盛岡」を投稿するキャンペーンだ。盛岡市では、NYタイムズ選出を機に改めて考える「盛岡の魅力」を共有しませんか?と呼びかけ、SNSや応募フォームから写真やコメントなどを募集。市の広報誌でも紹介した。投稿者にプレゼントする景品などはないキャンペーンだったものの、約1000件の投稿が集まった。

「市民の皆さんの盛岡愛を高めることは、観光に来た人に地域の良さを語ったり、おもてなししたりすることにもつながるはずです。人の温かさは盛岡の魅力。旅先で、その土地にいる人から『ここに行くといいよ』と紹介されると心に残るもの。自分たちの持つまちの宝に気づき、市全体を盛り上げていく取り組みを継続して強化していきたいです」（盛岡市 広聴広報課 司東真子氏）。

・・・記事の全文は、『広報会議』デジタル版で 。

『広報会議』2023年11月号は「訪れたくなる！観光を促す技」特集。自治体事例や、インフルエンサー活用のポイントなどを掲載しています。

関連記事

• インフルエンサーの力を借りる 地域に足を運んでもらうコツは?
• 外国人観光客の10人にひとりが来館 チームラボの発信したくなる仕組みづくり