視聴者もスポンサーと捉える時代へ
フジテレビの不祥事を受け、毎日放送(MBS)の元プロデューサーで同志社女子大学学芸学部メディア創造学科の影山貴彦教授は「メディア業界が自浄作用を示す最後のチャンスである」と警鐘を鳴らしている。今回の一件により、4月以降はほかの放送局へのCM出稿が増えると同時に、広告のデジタルシフトが進む可能性もあると指摘。フジテレビは経営陣の刷新も視野に入れた具体的な行動が求められるとし、今回の事態が業界全体の体質改善の契機となるべきだと訴えた。
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一連の問題でCM差し替えが相次いでいるフジテレビ本社 写真:アフロ
過去にも災害や出演タレントの不祥事でCM自粛の事例はあったが、影山教授は「放送局側の不祥事による今回のような事態は、これまで認識していない」と述べた。影響が及んでいるのはCMだけでなく、スポンサーの要請によりミニ番組「くいしん坊!万才」の放送を見合わせる事態となるなど、波紋の広がりが止まらない。
影山教授は、フジテレビは初期対応で躓いたと指摘。17日に開かれた港浩一社長の記者会見では、動画撮影や出席者の制限といった対応により「穏便に済ませたいという」姿勢をにじませ、炎上に拍車をかけたとしている。一部ネットで糾弾されているように、これまで他社の問題に対して厳しく追及してきたメディアが、自身の問題に対して事を荒立てないようにする動きが目立ち、それが今回の炎上を招いたとも分析した。