値上げが続く「DAZN」の新戦略 ドコモとのパートナーシップでライトファン獲得

ドコモの新プラン契約で「DAZN」見放題

スポーツ関連の定額制動画配信サービス「DAZN(ダゾーン)」を運営するDAZN Japan Investmentは4月24日、NTTドコモとパートナーシップ契約を締結した。6月5日に開始予定のドコモの新料金プラン「ドコモ MAX」「ドコモ ポイ活 MAX」において、契約者は「DAZN for docomo」を追加料金なしで見放題となる。両社は広告展開においても協業し、1億を超えるドコモユーザーのデータを有効活用する考えだ。

NTTドコモの齋藤武副社長(左)とDAZN Japan Investmentの笹本裕CEO

英国に本社を置くDAZNグループが提供する「DAZN」は、2016年に日本での展開を開始した。当初の利用料金は月額1890円(税込)。現在では30以上のコンテンツをそろえ、年間1万試合以上をライブ中継や見逃し配信で提供している。

一方で、コンテンツの充実や機能面の強化を目的とした投資に伴い、これまでに度々値上げしてきた。2024年2月にも値上げが実施され、スタンダードプランでは月額4200(同)となった。3年連続の価格改定となった。サービス開始当初の2016年と比べると、価格は約2倍に上昇している。

コアなスポーツファンは、価格が上昇しても充実したサービス内容に満足しており、継続利用につながっていることから、利用者数はわずかに増加している。一方で、度重なる値上げはライトなスポーツファンの離脱や、新規ユーザーの獲得を妨げる要因となっているという。

両社は2017年から、ドコモのプランでDAZNを割安に利用できる「DAZN for docomo」を提供。当初は月額980円(同)だったが、こちらも値上げによって、現在は月額4200(同)となっている。

今回のドコモの新プランは「DAZN for docomo」を追加料金なしで利用できる。「ドコモ MAX」の月額基本料金は1Gまでが5698円(同)だが、割引特典の適用で2398円(税込)となる。「ドコモ ポイ活 MAX」は無制限で月額1万1748円(同)だが、割引に加え、対象決済の特典利用によるポイント還元により、実質利用料金は月額2948円(同)となる。

価格面の課題を解消することで、スポーツのライトファンの獲得につなげる考え。DAZN Japan Investmentの笹本裕CEOは「大谷翔平効果もあり、ライトなスポーツファンが増加している。ドコモとの協業によって、そうした層を取り込むことができると期待している」と語った。今後も継続的な投資を行うものの、当面は値上げをしない考えも示した。

次のページ
1 2 3
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ