企業再生に必要な3要素「展開性」「持続性」「収益性」
━━ガーデンの成長には、企業再生M&Aというキーワードがあると思います。川島社長は、企業を再生するために必要な条件は何だと思いますか。
重要なのは「展開性」「持続性」「収益性」です。この3つで良い結果が残せると、企業再生に近づくことができると考えています。20年以上、企業再生に向き合ってきましたが、壱角家と山下本気うどんはこの3つがドンピシャで当てはまった事業です。これまでに例を見ない成功だったと捉えています。
最初に述べた「展開性」とは、市場可能性に近い概念です。どんな業態であれば伸びるのかを見極めるための指標と言えます。壱角家は業態転換、山下本気うどんはそのままうどん事業で成功していますが、この「展開性」を考えるうえで判断軸として見ていたのは“寡占化”でした。ラーメンやうどんはもちろんチェーン店が存在していますが、個人店も多いですよね。そのうえ「ラーメン/うどんが食べたい」と思うほどのファンは遠出してでも個人経営の人気店や有名店を訪れます。
しかし、例えば牛丼店であれば、「食べたい」と思ったときに誰もが思いつくチェーン店があるはずです。これが“寡占化”ですね。参入しても、それら大手に勝つことが難しい市場です。そういう基準で考えても、ラーメンとうどんは寡占化がそこまで進んでいないと考えました。事業の方向性を決めた理由の1つが「展開性」だったと言えます。
山下本気うどん 道玄坂。
━━他2つの「持続性」「収益性」は言葉の通り、事業として中長期的に成り立つということでしょうか。
その通りです。とくに「持続性」は、“流行り・廃り”の影響を受けない事業と言いますか。そういったイメージです。この「持続性」にもラーメンとうどんはぴったりだったと考えています。飲食事業といえば、トレンドがあるものですが、うどんやラーメンはもはや日常食です。要は飽きづらく、ビジネスとして息が長い。そういう意味でも、事業としての「持続性」に可能性を感じました。
そして「収益性」は利益増へのインパクトが高いかどうかです。ガーデンでは、前から博多とんこつラーメンのお店も展開していたのですが、家系ラーメンの収益性は段違いでした。何が違ったのかを考えてみると、店の立地は大きな違いの1つだったと考えています。
壱角家は先ほども述べたとおり、「チカラめし」から業態転換して生まれた店です。この「チカラめし」は、立地が良い駅前の一等地にしか出店していませんでした。我々はチェーン店なので、ふらっと立ち寄れる気軽さも必要。そういう意味でも、立地は魅力的だったわけです。“事業を買う”というよりは“箱を買う”というイメージでしょうか。収益性を見込むには、持って来いでした。
ここまで話した通り「展開性」「持続性」「収益性」の3つで上手くいくと見込んだからこそ、壱角家と山下本気うどんは現在も成長しているのだと考えています。ですが裏を返せば、ガーデンではこの3つを兼ね備えている企業をM&Aで再生させているとも言えます。必ず再生することができると確信がある企業を選んでいますね。
ですが、信用がなければせっかくの事業を売りたいとも思わないはずです。だからこそ、冒頭で話したように、私たちが行動指針として大事にしているのが「信用をつくる行動」。ここで、大事な基礎の部分に繋がってくるわけです――
本記事の全文は、月刊『販促会議』5月号本誌、もしくはデジタル版(ご購読が必要です)にてお読みいただけます。
