映像化で重要なのは「原作愛」
不気味な通路を描いた映画化発表映像
映画制作において企画を担当した坂田悠人氏(STORY)は「ゲームの映像化において、非常に重要なのは『深い原作愛』である」と語る。特報映像では、原作を愛するファンに向けて、製作陣自身が作品を深く愛していることが伝わるよう意識したという。「美しくもどこか不気味な『あの通路』、毎回歩いてくる『おじさん』など、『全身全霊で8番出口を映像化する』という姿勢が伝わるように、ラブレターのような気持ちで映像を制作した」とも語った。
このゲームは、一見しただけでは内容が分かりづらい側面もある。原作未経験者にも訴求できるよう、何も知らない状態で空間に迷い込んだ「迷う男」の視点から、「普通の人間だったらこんな行動を取るだろう」という想像力を働かせて制作したという。そのため、YouTubeなどに投稿されている初見プレイ動画も参考にしながら、「迷う男」がルールを理解していく過程が映画の視聴体験とリンクするよう工夫を凝らした。
地下鉄で迷うという、誰しもが経験しうる状況に由来する独特の魅力を原作ファンに伝えるため、日本の地下鉄で聞きなれた音や空気感などをフィルムに注ぎ込んだという。
世界中に存在する地下鉄という共通モチーフを通じて、日本に限らず、世界中の人々に届くよう細部まで工夫を凝らした。カンヌやフランスをはじめとした海外メディアでも高評価を得ており、特にカンヌ国際映画祭での反響を受け、坂田氏は「世界に届く作品になると確信した」との期待を語った。
