第12回BOVA贈賞式、「自分にない物差しで不安だった」グランプリ受賞者が語る

縦型動画部門の初代グランプリにふさわしいクライテリア(評価基準)とは

宣伝会議が発行する雑誌『ブレーン』主催のオンライン動画コンテスト「BOVA(ボバ)2025」の贈賞式が6月19日、東京・竹芝で開催された。贈賞式では、受賞作品の映像を流しながら進行し、最終審査員から評価ポイントが語られ、また受賞者へ賞状などが贈られた。

「BOVA(Brain Online Video Award)」はオンラインに特化した動画コンテストで、映像制作業界の活性化と、これからを担う動画クリエイターの発掘・育成を目的としている。今年で12回目となるBOVA2025は、SNS・スマートフォンでの視聴を想定したオンライン動画に限定した〈縦型動画部門〉を新設した。〈縦型動画部門〉では673点(うち学生部門463点)、〈オンライン動画部門〉では247点(うち学生部門78点)の動画作品が集まった。

〈縦型動画部門〉のグランプリは、資生堂の課題「使用感の良さが伝わり、思わずアネッサを肌に塗りたくなる動画」への応募作品「Numbers」だ。佐藤一貴氏(電通)、大竹聡氏(ギークピクチュアズ)、大江海氏(同)らが手がけた。

(左から)最終審査員の市川晴華氏、縦型動画部門グランプリを受賞した大江海氏(ギークピクチュアズ)、佐藤一貴氏(電通)、大竹聡氏(ギークピクチュアズ)、最終審査員の多田智氏

主人公がバーコード決済をしようとすると、妙齢のコンビニ店員の頭上に「23」という数字が浮かんでいることに気付く。残りの寿命と思いきや、どうやら違う。数字の正体を探るべく、SNSやYouTubeでリサーチをしていき、つい続きが気なる映像になっている。

企画・演出を手掛けた佐藤氏は「完パケしたあとに監督やプロデューサーと『本当に面白いかわからない。やっちゃったかな…』と反省会をしていました。こうやって評価されて改めて気づいたが、仕事で身につけてきた自分の物差しにない映像だったからこそ測れなかったのだなと。不安でしたが背伸びして新しい表現に挑戦できてよかったです」と振り返った。

最終審査員の市川晴華氏は「初代グランプリにふさわしい作品は何か、審査基準を激論しました。まず映像作品として与件に応えているか、新しさがあるかを押さえたうえで、縦型ならではのギミックを評価しました。選ばれたグランプリ作品は、肌年齢というアイデアや商品とのブリッジ、バーコード決済画面という縦型視聴への無理のない導入、店員の胸ポケットから覗くアネッサならではのパッケージ(キャップのみ)を最終カットにするところまで完璧だった」と語った。同じく最終審査員を務めたショートドラマ監督の多田智氏は「広告クリエイターの他の審査員と違った視点から評価しました。この作品はつかみの2秒、起承転結の15秒、続きが気になる45秒と、視聴完了率を意識して精巧につくりあげていた」と評価した。

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