AIによる“量産型”と“唯一無二”の分岐点はどこにある? 森川ジョージ×けんすう×深津貴之が示したマンガ産業の未来

「国際MANGA会議 Reiwa Toshima(IMART)」が11月12日、東京・池袋で開催され、国内外のマンガ・IPの業界関係者が集った。同イベント内の特別セッション「漫画とAIの関係はシンギュラリティに向かっているのか」には、日本漫画家協会 常務理事で『はじめの一歩』の作者、森川ジョージ氏、アル代表の古川健介(けんすう)氏、THE GUILD代表の深津貴之氏が登壇した。マンガ制作・IP活用・テクノロジー導入という3つの観点から、AIによって変わりつつある産業構造が議論された。

右から深津貴之氏、森川ジョージ氏、古川健介(けんすう)氏

AI導入は「読者体験」と「編集・制作」の両面で進む

まず古川氏は、AIが読者体験を更新する具体例として、複数のプロジェクトを紹介した。アルが集英社と共同開発したマンガ制作AI「Comic-Copilot(コミコパ)」は、作家の制作工程を補助するだけでなく、作品の投稿・分析・成長までを支援する。「マンガ投稿サービスでは、読者離脱率やページ単位の課題をAIが分析し、“どこを直せばもっと読まれるか”を提案できるようにしている」と話し、編集的フィードバックをAIが補完する可能性を示した。

さらに『SPY×FAMILY』の多言語コミュニケーション機能では、「ドイツの読者とメキシコの読者が、それぞれ自分の言語でコメントし、同じスレッドで会話できる」仕組みを生成AIで構築したという。国境を越えたコミュニケーションの新たな形として、AIが“作品の外側”の体験を拡張している。

森川ジョージも「異世界転生モノを同時連載したい」

深津氏が語ったのは、AI導入がクリエイターの働き方にどのような影響を与えるかという点だ。深津氏が立ち上げに携わったマンガ製作向けAI補助ツール「THE PEN」は、作家本人の画風を学習させ、ネームから清書の一部までAIがサポートする。「連載を3〜4本同時に持つ作家や、健康上の理由で長時間作業が難しい作家の“代わりに8割ほどの下支えをする”AIアシスタントを目指している」と語り、クリエイター支援ツールとしてのAI活用を強調した。

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