一般財団法人GovTech(ガブテック)東京と東京都デジタルサービス局は4月30日、「行政×AI 世界の実践と未来」をテーマに「ガブテックカンファレンス・グローバル」をTokyo Innovation Baseで開催した。本カンファレンスには、デジタル先進国エストニアの法務・デジタル大臣をはじめ、ウズベキスタン、台北市、ソウルAI財団のキーパーソンが集結。AIを行政に導入する上での戦略や課題、具体的な実践例について、グローバルな視点から最新の知見を共有した。
宮坂副知事が問う「政府がAIを統治する方法」
カンファレンスの冒頭、東京都副知事でありGovTech東京の理事長を務める宮坂学氏が登壇。AIの導入が行政にとって何を意味するのか、根源的な問いを投げかけた。宮坂氏は、これまで行政が印刷、郵便、インターネットといった情報技術を取り入れて進歩してきた歴史を振り返りつつ、AIは「これまでの技術の延長線上にあるのではない」と断言。AIは、話し言葉や文字の発明に並ぶ「人類にとって第三の偉大な飛躍」だと位置づけた。
一方で、その強力さゆえのリスクにも言及。「強力なツールは諸刃の剣であり、歴史は強力な技術が監視や統制につながることを警告している」と述べ、AIガバナンスの重要性を訴えた。宮坂氏は、最も重要な問いは「政府がどのようにAIを使うか」ではなく「政府がどのようにAIを統治すべきか」であると強調。まだ明確な答えはないとしながらも、「共に学び、共に考えることで、より早く、より少ない過ちでそこにたどり着ける」と語り、本カンファレンスをグローバルな集合知を形成する第一歩と位置づけた。
デジタル先進国エストニアの哲学
キーノートセッションには、エストニア共和国のリーサ・リー・パコスタ法務・デジタル大臣が登壇し、同国の先進的な取り組みを紹介した。エストニアは、政府サービスが完全にオンライン化されたデジタル国家であり、AIを活用したプラットフォームを提供している。
パコスタ大臣は、AI時代の行政が目指すべきフロントエンドの姿として「ワンセンテンス・ベース・ガバメント」というコンセプトを提示した。これは、市民が「別の街に引っ越す」とアプリで一言伝えるだけで、幼稚園や学校の転校手続き、医師の登録、電気・ガスといったインフラ契約の変更など、関連するすべての行政手続きがAIエージェントによって自動的に処理される世界観である。これにより、市民は官僚的な手続きから解放され、サービスレベルは迅速かつ高水準になるとした。その理想像は「市民は政府の存在を意識するべきではない」という言葉に集約される。
