MetaがソーシャルVRプラットフォーム「Meta Horizon Worlds」のサポートを終了(※翌日に一転して継続すると報じられた)するなど、一時期の熱狂は冷め、メタバースは“終わったコンテンツ”と見なされがちだ。しかし、それはVRゴーグル中心の視点に過ぎない。水面下では、PCやスマートフォンを主戦場とする『Roblox』や『VRChat』といったプラットフォームが若年層を中心に巨大な経済圏と独自の文化を形成している。
メタバースクリエイターズのFounder/CEOである若宮和男氏は、現在のメタバースは8年前のTikTokのように、新たなソーシャルメディアとして爆発的な成長期にあると指摘する。若宮氏の解説を基に、2大プラットフォームの文化的差異や、企業が参入する際の課題と成功の要点を解説する。
「ニューソーシャルメディア」としてのメタバース、その可能性とは
若宮氏は、建築設計、アート研究、NTTドコモやDeNAでの新規事業立ち上げといった異色のキャリアを持つ。特に、課題解決思考の限界を超えるための「アート思考」を提唱し、イノベーション創出の文脈で多くの企業を支援してきた。その若宮氏が2023年に「メタバースクリエイターズ」を創業した背景には、現在のメタバースが持つ特有の熱量への確信があった。
若宮氏が創業したのは、フェイスブックがメタ社に社名変更した後、メタバースがバズワードとして一度下火になったタイミングだった。しかし同氏は、グローバルで成長しているプラットフォームは基本的にUGC(User Generated Content)であり、ユーザー自身がコンテンツを作る点に着目。その玉石混交のカオスな様子が2000年以前のインターネットの空気感に似ていると感じ、本格的な成長期が来ると確信したという。
若宮氏はメタバースを、3D空間内にアバターという自身のアイデンティティを持ち、コミュニケーションや経済活動が行われる場所と定義する。VRゴーグルは必須ではなくデバイスの一つに過ぎず、PCやスマートフォンなど多様なデバイスから同じ空間に人々が集い交流する。この新しいコミュニケーションの形は、特にZ世代以下の若者にとって日常となっており、若宮氏はこれを「ニューソーシャルメディア」と捉えている。
若宮氏によれば、8年前のTikTokがビジネス界から「若者が踊っているだけ」と見られていたように、現在のメタバースも過小評価されがちだという。しかし、今やTikTokが主要プラットフォームのひとつとされるようになったように、α世代にあたる小中学生は「Roblox」や「VRChat」は利用時間でTikTokを超え、新しいソーシャルメディアの中心になりつつあると指摘する。
RobloxとVRChatの決定的な文化の違い
メタバースと一括りにされがちだが、プラットフォームごとにユーザー層や文化は大きく異なる。若宮氏は、現在特に注目すべきプラットフォームとして「Roblox」と「VRChat」を挙げ、その特性を対比的に解説する。