買物のAI活用が日常化――生活者が信頼する“新しいメディア”へ

AIは生活者の情報収集、購買行動を大きく変えていこうとしています。本連載では、主に購買行動に焦点を当てて、AIによる生活者変化を捉えていきます。前回は、『Agentic Commerce元年の先にあるもの 購買行動の地殻変動とAIエージェントと選ぶ時代のマーケティング戦略』をテーマに記事を公開。今回は、「AIショッパー時代の『買物体験』」をテーマに博報堂買物研究所 マーケティングプラニングディレクターの瀧本晃裕氏が最新のトレンドを解説します。

生活者が生成AIを日常の「買物」に活用する行動は、国内で今、どの程度浸透しているのでしょうか。私たち博報堂買物研究所が2026年2月に実施した最新の調査結果を見たとき、私は正直、この数字の重さをあらためて実感することになりました。

調査によると、「月に1回以上、買い物の際にAIを利用している人(AIショッパー)」は24.6%にのぼっています。実に「4人に1人」が、買物にAIを取り入れているのが現状です。さらに、これらAIショッパーの中で「週に1回以上使う」という人が41.7%と最も多い層を占めていることも分かりました。生成AIは生活者の日常の買物行動に溶け込み始めているのです。

AIとの対話から始まり、購入後まで並走する「DREAMモデル」

こうした購買行動のパラダイムシフトを受けて、私たち買物研究所が提唱しているのが、AIとの対話から始まる新しい購買行動モデル「DREAM」です。買物のステップがこれからどう変化していくのか、その全体像を示したフレームワークです。

■DREAMモデルの5つのフェーズ

出発点となるのは「D(Dialog:対話)」です。生活者がAIエージェントと会話をしながら、自分が今抱えている困りごとや生活環境、欲しいものを言葉にして伝えます。そこからアドバイスをもらう対話が、これからの買物の起点になります。

次に来るのが「R(Recommended:提案)」で、ライフスタイルや好みを共有されたAIが、個人のニーズにぴったり合う選択肢を提案します。

そこから実際に検討を深めるのが「E(Experience:体験)」のフェーズです。ここで私が特に重要視しているのは、「リアルの実体験」と「バーチャル(XRなどを含む)の体験」の両方が揃っていることです。わざわざ店舗に足を運ばなくてもリッチな体験ができる環境が整うことで、商品選びはより豊かになっていきます。

豊かな体験を通じて「これがいい、これを買いたい」という「A(Assurance:確信)」を得たら、実際の面倒な購入手続きはAIエージェントが担う(エージェンティックコマース)流れになっていくと見ています。

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