フランス・カンヌで毎年開かれるクリエイティビティの祭典「カンヌライオンズ」では、アワードの受賞結果だけでなくトークセッションで語られる内容にも注目が集まります。第一線のクリエイターやプランナー、経営者などが登壇した今年6月の「カンヌライオンズ2026」で話題のテーマとは――。
電通のストラテジックプランナーを経て、企業の戦略コンサルティングや次世代型広告会社FOR YOU by ContentAgeの経営にも携わる筧将英さんが注目したのは、「クリエイティビティとは、いったい誰のものなのか」。このテーマについて、3回にわたってお伝えします。
エージェンシーらブランドへ、クリエイティビティの主語がシフトしている?
6月22~26日に開催された「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル2026」に参加してきました。受賞作の速報やグランプリ解説はすでに各社が詳しくレポートしてくれているので、本稿では「セッション(セミナー)」にフォーカスします。受賞作は後から映像で見返せますが、壇上の生のやりとりや会場の温度感は、現地でしか得られないからです。
フランスには熱波がきており、灼熱でした
今年参加して紹介したい、そして相互につながっていると感じた3つがこちらです。
1. Inside Out: In-house or Agency?
インサイド・アウト:インハウスか、エージェンシーか
2. Stop Working in Advertising. To Engage You Need to Entertain.
広告の仕事をやめろ。エンゲージするには、エンターテインせよ
3. Creative Business Transformation Lions — Behind the Jury
クリエイティブ・ビジネス・トランスフォーメーション部門 審査員セッション
一見バラバラですが、3つのセッションは自分にとって同じ視点から解釈することができました。私が感じたのは——「クリエイティビティは、いったい誰のものなのか」。
私は「広告代理店の価値は、クライアントの内側ではなく外側にいること」と考えています。世の中視点でクライアントの価値を翻訳し、世の中に橋渡しする存在である、と。だからこそ今年の3セッションは、自分たちの存在意義をそのまま問われるような時間でした。
また、今年はブランド側の企画者の存在感がいよいよ無視できないものになったという実感がありました。全応募作のうちブランドによる応募は10%を占め、前年の8%から増加。約400のブランド担当者が集まり、「CEOフォーラム」「CMOフォーラム」も開催されています。
新設「Creative Brand部門」の初代グランプリがAB InBevに贈られたのも象徴的でした。クリエイティビティの主語が、エージェンシーからブランドへと静かに移りつつある。この潮流を補助線に、順に見ていきます。
