「人間はどうなる?」──長崎新聞が81年目の8月9日に問いかける、被爆資料を”紙面に展示する”新聞広告

長崎新聞社は8月9日、長崎に原爆が投下された日に合わせて実施する「平和企画」の新聞広告を掲載する。2020年から毎年続く同企画の7回目となる今年は、長崎原爆資料館に収蔵・展示されている被爆資料をイラストレーターが原寸大で描き起こし、新聞紙面上に「展示」するという構成を採った。30段見開き、全15段、5段広告7種で構成されるシリーズ全体を貫くコピーは「人間はどうなる?」。クリエイティブディレクター兼コピーライターの鳥巣智行氏、アートディレクターの江波戸李生氏らが中心となり、明治学院大学国際平和研究所研究員の林田光弘氏が企画やファクトチェックを担当した。

30段見開きには被爆して溶けたガラス瓶のイラストが原寸大で配置されている

30段見開きには被爆して溶けたガラス瓶のイラストが原寸大で配置されている

「想像力を抑止力に」2020年から続く平和企画の歩み

長崎新聞の平和企画は「想像力を抑止力に」を一貫したテーマに掲げ、毎年8月9日の紙面で展開してきた。2020年の初年度は「#8月9日に想像したこと」と題したラッピング広告、2021年は1万3000超の黒い丸で核兵器の脅威と現実を可視化する広告を掲出。2023年の4回目には、心理学者エドガー・ルビンが考案した多義図形「ルビンの壺」を応用し、キノコ雲にも対話する2人の横顔にも見えるビジュアルを30段見開きで展開した。「武力か、対話か。」というコピーを添え、ウクライナ戦争下で核兵器使用のリスクが高まるなか、読者に平和的な解決策を考えるきっかけを投げかけた。

2024年の5回目は「原爆炸裂からの3秒間」を主題に据えた。炸裂時の光を集中線で表現し、コピーを読み終えるまでの数秒間に爆風で町が焼き尽くされるという事実を、読む体験そのものに重ねる構成を取った。5段広告7種では、炸裂から10秒、8分30秒、1時間、13時間、1カ月、10年、79年と時間軸を追い、後遺症が現在まで続いていることを伝えている。

これらの広告はいずれもモノクロを基調とし、イラストレーターによる抽象化されたビジュアルと鋭利なコピーの「アート&コピー」で構成されてきた。江波戸氏の言葉を借りれば「ソリッド」な表現であり、読者にぞっとするような衝撃を与えることを意図した設計だった。

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