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「武力か、対話か。」、平和を考えるきっかけをメッセージする長崎新聞の広告

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「武力か、対話か。」、長崎に原爆が投下された8月9日、長崎新聞にこんなメッセージが書かれた広告が出稿された。30段の見開き広告には、キノコ雲にも、対話している2人の横顔にも見えるビジュアルが描かれている。

実データ 長崎に原爆が投下された8月9日の長崎新聞の広告

 

その横顔が透けて見える裏面の15段広告には、平和について考えるきっかけとなるメッセージを掲載。その下には長崎市をはじめ、県内の企業が名を連ね、新聞各面下にも5段広告が掲載されている。


実データ 長崎に原爆が投下された8月9日の長崎新聞の広告

長崎新聞は、8月9日の長崎に原爆が投下された日に広告を掲載する『平和企画』に2020年から取り組んでいる。4回目となる今年のビジュアルの元になっているのは、ルビンの壺(心理学者エドガー・ルビンが考案した多義図形)だ。今回、読者に考える時間を与えるため、30段を縦に使用し、なるべく大きくイラストで表現した。

「イラストはfancomiさんの手描きによるもの。完全なシンメトリーではなく、煙のような歪さを残して描いていただきました。決して武力と対話の2軸だけが解決策だとは思っていませんが、このイラストを見て、核兵器使用以外の平和的な解決策がないのか?人類最大の課題として考えるきっかけになる広告になってほしいと思います」(アートディレクター 江波戸李生氏)

クリエイティブディレクター 鳥巣智行氏は、江波戸氏から提案されたビジュアルのアイデアを見て、「武力か、対話か。」という言葉が思い浮かんだという。

「『武力か対話か。』、それらは二項対立の白黒つけられる問題ではありません。広告を見た人に『あなたはどちらにフォーカスするのか』と投げかけたいと考えました。一方で8月9日の長崎新聞の立場としては、対話を選ぶべきというスタンスも示すものにしたいと考えました。ウクライナ戦争が長引き、核兵器の使用リスクが高まりをみせるなかで、世界の人々にキノコ雲の下で何が起こったのかを学んでほしい。ロシアは核恫喝などではなく、平和的な手段で一刻も早く戦争を終わらせてほしいという願いも込めて制作をしています」(鳥巣氏)

原稿を制作するうえで、長崎で起きた出来事と現在の世界で起きている出来事をいかに関連づけて考えてもらうかが大きなポイントとなった。

「武力か対話かというのは非常にセンシティブな表現で、たとえばウクライナに対話をよびかけるようなメッセージになってしまうと、ロシアの武力を容認することと同様の意味を持ってしまうというリスクをはらんでいました。様々な立場の専門家の意見をヒヤリングし、その落としどころを探っていくプロセスを通して、メッセージが修練されていきました。

またせっかくなら長崎からのメッセージを世界に発信しようと、Webサイトでは英訳を掲載しています。微妙なニュアンスのコピーを英語で正確に伝えるという難しい作業を山口響さん、田中美穂さんに担っていただきました」と、ファクトチェックを担当した長崎大学核兵器廃絶研究センター 特任研究員 林田光弘氏。

長崎新聞では、本日出稿した広告を平和企画特設サイトにも掲載。長崎新聞購読者でなくてもPDFでダウンロードできるようになっている。

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スタッフリスト

企画制作
長崎新聞社+電通+電通九州長崎支社+Better+プラグ
スーパーバイザー
牟田雄一郎
CD+C
鳥巣智行
AD
江波戸李生
ファクトチェック
林田光弘
D
鑓田佳広、小島幸菊
I
fancomi
WEB
木場皓紀、東村亮
Pr
福岡一磨、江口博昭、高村正信
協力
西田充、山口響、田中美穂

ECD:エグゼクティブクリエイティブディレクター/CD:クリエイティブディレクター/AD:アートディレクター/企画:プランナー/C:コピーライター/STPL:ストラテジックプランナー/D:デザイナー/I:イラストレーター/CPr:クリエイティブプロデューサー/Pr:プロデューサー/PM:プロダクションマネージャー/演出:ディレクター/TD:テクニカルディレクター/PGR:プログラマー/FE:フロントエンドエンジニア/SE:音響効果/ST:スタイリスト/HM:ヘアメイク/CRD:コーディネーター/CAS:キャスティング/AE:アカウントエグゼクティブ(営業)/NA:ナレーター