本記事は月刊『販促会議』2026年11月号に掲載されている、最新の販促アイデア、テクニックを一挙紹介する連載「Idea&Techniques」の転載記事です。本連載の他記事は、月刊『販促会議』2026年11月号、もしくは「販促会議デジタルマガジン」にてお読みいただけます。
東京・蒲田を拠点に飲み文化を発信する地域特化型メディア「カマタノミ」は、飲み屋紹介冊子「150年目の大森飲み~大森駅開業150年記念冊子~」を7月15日から発刊。大森エリアの各所でフリーペーパーとして無料配布した。
カマタノミは、4年間にわたって大田区の飲み文化を発信してきた団体。今回の冊子は、6月12日にJR大森駅が開業150年を迎えたことを記念して制作した。この節目を地域全体で祝い、飲み文化の記録としても残したいと考えた。
冊子はA5サイズ、24ページ。目標は、大森駅の開業150年を地域内外に広め、「街の記憶」としてかたちに残すこと。加えて、大森エリアへの来街や回遊の促進、カマタノミの発信を大森エリアへと広げ、地域の魅力を発信するメディアとしての基盤を築くこととし、企画・制作を行った。
大森は、鉄道・海苔・不動産など、産業の移り変わりとともに発展してきた、歴史的にも魅力のある街。一方で、地域住民であっても「大森駅の開業150年」というテーマはどこか自分事になりにくい。そこで、150年という歴史を「飲み」という誰もが親しみやすい日常の切り口で表現。現在の飲食店と重ね合わせることで、地域の歴史と今を一冊でつなぐ構成になっている。
入口は、すぐに行きたくなる飲食店情報とし、冊子やWebサイトで街の背景や文化まで伝えた。この冊子を通して、大森を訪れるきっかけをつくり、地域の人による街の再発見を目指す。
冊子は、初版と増刷で合計1万部を発行した。駅開業150年にちなんで、大森で飲む150人にアンケートを行い、「おすすめの一軒」として名前の挙がった飲食店17店舗を訪問。大森ならではの飲み文化について、店主に取材した。
また、JR大森駅長と協賛企業および団体のインタビューも掲載。PR要素が強くなりすぎると冊子全体のテーマがぼやけてしまうと考え、それぞれの立場から見る大森の歴史や街の魅力を語ってもらうことで、150年の節目を迎えた街の姿を立体的に描いた。
飲食店の紹介ページ。大森エリアにおいて、地域とのつながりがほぼない状態から企画がスタートしたため、まずは地元の人を巻き込むことから取り組んでいった。
1万部の完全配布を目標に、大森駅や掲載店舗をはじめ、不動産会社や美容室、ホテル、酒販店といった地域の店舗約120カ所で手配りによる配布を実施。地域のお祭りやマルシェでも配布した。中でも、今回のテーマ地となった大森駅では、非常に早いペースで手に取られているという。冊子を置いている店舗からも、「他のフリーペーパーと比べてすぐになくなる」「追加で持ってきてほしい」といった声が聞かれた。
加えて、掲載した飲食店からは、「冊子を見て来店されたお客さまがいた」「すでに何組も冊子を見て来てくれている」と、実際の送客につながったことがわかる反響も。読者からは、「こんなに素敵なお店があることを初めて知った」「無料とは思えないほどクオリティが高い」「この冊子で初めて大森駅開業150年を知った」などの感想が届いた。地域の人からは、「街の節目をかたちとして残してくれてありがとう」という感謝の声も聞かれ、「カマタノミ」として地域の記録としての役割も果たせたと感じているという。
今後も、取り組みに共感する地域事業者のインタビューを追加し、協賛を募りながら増刷する予定だ。10月には、大森駅前での地域イベントの開催と、冊子で紹介した飲食店を巡る回遊企画も予定している。
冊子が陳列されている様子。初版1000部では足りず、9000部を増刷し、計1万部を発行した。今後も反響を見ながら部数を伸ばしていく予定。
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