「ラブライブ!サンシャイン!!」聖地の沼津市はなぜ愛されるのか 行政が“黒子”に徹した10年

「推し」をきっかけに商品を買い、ゆかりの地を訪れるファンの熱量を、いかに一過性で終わらせないか。静岡県沼津市では、「ラブライブ! サンシャイン!!」をきっかけにファンと地域の交流が広がり、10年以上にわたる関係を築いてきた。その裏側にあるのが、行政があえて“黒子” に徹する姿勢だ。ファン・地域・IPホルダーをつなぎ、長く愛される“聖地” を育ててきた取り組みを追う。
※本記事は月刊『販促会議』2026年12月号「ファンダムマーケティング」特集の転載記事です。こちらの全文や他記事は、月刊『販促会議』2026年12月号本誌、「販促会議デジタルマガジン」にてお読みいただけます。

「ラブライブ! 」は、スクールアイドルとして活動する少女を描き、アニメや音楽、ライブなど幅広く展開するシリーズ作品。その1つ「ラブライブ! サンシャイン!!」の舞台となったのが、静岡県沼津市だ。

写真 沼津駅
写真 沼津仲見世商店街

沼津駅には「ラブライブ!サンシャイン!!」の大型ビジュアルを掲出。作品が街の風景の一部となっている。沼津仲見世商店街にも装飾が並び、地域と作品のつながりを街中で感じられる仕掛けに。

2015年に沼津市が作品の舞台として発表されると、ファンの「聖地巡礼」が広がった。市内の実際の風景も描かれ、次第にファンと地域の交流が生まれていった。

「行政が主役になるのではなく、ファンと地域住民が主役となることが大切です」。そう話すのは、沼津市の担当者・山田勇太氏だ。

行政はあえて「一歩引く」 主役は地域とファン

作品の舞台となったことを、どう地域活性化につなげたのか。沼津市が選んだのは、その熱量を行政主導の大型施策に取り込むことではなかったと山田氏は続ける。

「行政主導でファンや地域に働きかけるのではなく、地元の方々がファンを温かく迎える土壌を育むことが役割だと考えました。ファンや地元の自主性こそが、地域活性につながると考えたためです」(山田氏)。

そこで沼津市は、放送開始前の2015年から、特別な予算を伴う大規模な事業化を行わず、「一歩引いた後方支援」に徹してきた。行政が前面に出れば、予算や公平性の観点から柔軟な対応が難しくなる。さらに、事業終了とともに熱が冷める「一過性のイベント」になりかねないという懸念もあった。

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