フォロワー数22万人超えのTwitterアカウントを持つ燃え殻さん。2017年6月にはウェブメディア「cakes」での連載を書籍化した『ボクたちはみんな大人になれなかった』(新潮社)を発売し、1カ月で7万部以上を売り上げるヒットとなった。燃え殻さんが「書く人」になる過程には、多くの「出会い」があった。『編集会議』2018年夏号(7月31日発売)の特別編としてお届けする。
「出会い」が僕を小説家へと導いた
僕、ものを書く才能も、資本主義で生き残る才能もまったくないけど、たぶん人に出会う才能はあるんです。だから、「書いて、書いて、書いて」というより「出会って、出会って、出会って」ですね。
最初の出会いはお笑いコンビ「スピードワゴン」の小沢一敬さん。6年ぐらい前にTwitterで僕をフォローしてくれて、ちょうど小沢さんの小説を読んだタイミングだったので、DMで感想を送ったら「会いませんか」と返信をくれたんです。
小沢さんと初めてお会いした日、待ち合わせ場所に指定されたのは浅草のクレープ屋さん。行ってみたらなんとキッチンカーで……。ヤバい人かもと思いました(笑)。でも、同い年だし好きなものも似ていたので意気投合して、飲みながらいろんな話をしました。ある時、「僕は樋口毅宏さんの小説が好きなんです」と話すと、小沢さんも樋口さんの作品が好きで、ご本人とも面識があるという話になり、盛り上がりました。そして、10月に小沢さんが僕の誕生祝いをやってくださると言うので店に行くと、シークレット・ゲストとして樋口さんが来てくださったんです。これがもう1人のキーパーソンとの出会いです。
