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コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

『カメラを止めるな!』はなぜ爆発的にヒットしたか、考えられることを考えてみる

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【前回の記事】「広告業界的に知っておくといい放送改革論議」はこちら

『カメラを止めるな!』はパンフレットも充実した内容でした。

映画『カメラを止めるな!』、みなさん見ましたか? 面白かったですね!
私はすでに2回見に行きましたが、2回目は2回目でまた面白いんですよ。「ここでこう言ってるけど実はさ、くっくっく!」と笑いそうになるんですが、周りは初見ですから笑っちゃうと変なおじさんになるのでガマンしました。

そう言えば、自分も最初はこの部分はなんだろうこれ、と思ってたよなー、とタイムスリップした感覚。今度、もう一回見たら3回目なりの面白さがあるんじゃないかという気がしています。見てない人にはさっぱりわかりませんね。ぜひ見てください。

この映画は「ネタバレ厳禁」と言われています。ここから先も、なぜヒットしたか、その理由について考えたことをネタバレしないように書きます。でも、見てない人にはなんだかわかんないでしょう。ヒットした理由を知るには、まず見るしかありません。すぐに映画館に走ってください。

ヒットの理由1:2館から300館に拡大

この映画は最初、6月23日にたった2館で公開が始まりました。池袋のシネマ・ロサと新宿K’s cinema。どちらもいわゆるミニシアターです。ところが連日満員でなかなか見れない。7月14日からは渋谷ユーロスペースと川崎チネチッタに上映館が拡大しました。私もこの時、川崎で見たら満員。後半では笑い声がどっと響き、終わると拍手が起こりました。

そして8月3日からはTOHOシネマズをはじめ一気に上映館が増えます。いまはもう300館を越えたとか。すごいことですね。インディペンデントな作品が全国に上映館が拡大するなんて。

さて、ここで最初の「ヒットの理由」として2館から300館に拡大したことを挙げたいです。あれ? 逆ですよね、本来は。ヒットしたから拡大したのであって、ヒットの理由が拡大っておかしくないか、と。

でもね、上映館が拡大したからヒットしたのだ、とあえて私は言います。いくら話題になっても、映画館が増えなかったらヒットしようがないわけですから。それに、どうもここがよくわからない。6月23日に公開したら大評判。それを見て8月から上映館を増やそうと、TOHOシネマズが7月25日に決めたそうです。1カ月後ですよ。早すぎ。普通ありえない。

だってこの時期、上映したい映画が、わんさか行列作って待ってるわけですよ。いわゆる夏休み映画というやつが大挙して映画館で出待ちしてる。それをね、たった2館が連日満員になってるからって、そんなぽっと出の作品のためにTOHOシネマズがスクリーンをあけるの?

8月からアスミックエースが共同配給についています。逆にそれまでは配給会社がついていなかったのでしょう。アスミックは中堅。東宝、松竹、東映、その次くらいだと思います。TOHOシネマズとしては「親会社である東宝が配給する作品のためにスクリーンを確保しなくてどうするんだ!」と誰かが怒鳴ったりしそうなもんです。
そこをスクリーンをあけたわけです。普通やらないと思います。どうしてそんな奇跡が起こったのか…。

だから、あえて逆の言い方をしたわけです。TOHOシネマズの大英断があったからヒットしたのだと。興行収入が10億円を超えたのも、TOHOシネマズのおかげだと思います。そこが今回、いちばん革命的だったのではないかと。

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