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広告業界的に知っておくといい放送改革論議

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【前回の記事】「嫌われてるのは、広告ではなく販促だ!そこにネット広告成長の鍵がある」はこちら

広告業界で話題にならなかった放送法改革騒動って?

今回は3月に巻き起こった「放送法改革騒動」について書こうと思います。でもそもそも、ここ「Advertimes」の読者のみなさんからすると「3月に巻き起こったこと自体、知りませんけど」って感じだと思います。そう、ホントに不思議な“騒動”で、実にクローズドな形で議論されました。閉鎖的というか、大っぴら感が薄いというか、関係者以外にはまるきりわかりにくい空気での議論であり騒動だったのです。

広告業界は放送業界と隣接しているのに、みなさんほとんど知らなかったし興味もなかったでしょう?そこがまたこの国のメディアの世界の問題点だと思うなあ。つまりね、マスコミの人たちは自分たちの話題になるとえらく閉鎖的になるんですよ。他の業界で改革議論が起こったら小突き回すくせにね。

そんなイヤミは置いときましょう。3月に起こったのは、主に「放送法を政権がいじろうとしている!」という言い方で、中でもとくに「放送法4条を撤廃すると政権が言い出したぁ!」と新聞社が批判した”騒動”でした。でもこれには、その前の状況から説明する必要があります。この記事はそこいらをいちばんわかりやすく書くと宣言して書きますが、それでもわかりにくいのでよーく読んでくださいね。

2年前に始まったNHKの放送同時配信の議論

まず最初に総務省の会議体「放送を巡る諸課題に関する検討会」を知ってください。名前が長すぎるので「諸課題検討会」と略しますね。この諸課題検討会は、諸課題といいつつ事実上は「NHKの放送同時配信をどう進めるか」が議題です。

2015年11月からずーっとやってます。でも何も進んでない。私もできるだけ傍聴しているんですが、これほど“進まない”会議もありません。というのは、同時配信を進めたいNHKに対して進めてほしくない民放の対立を、会議の主催者たる総務省がまとめられないからだと思います。こんなところで霞が関批判をしたくもないですが、2年間以上会議してまったく進まないのは事実です。進まないことに総務省の責任がないとは言えないでしょう。

すみません、「諸課題検討会」の話はあくまで前提の前提なので先へ進みます。

さて一方で、内閣府が主催する「規制改革推進会議」という会議体があります。首相の諮問機関として、ありとあらゆる分野の「岩盤規制」を突破すべく議論が進められてきました。農業に医療、保育に雇用と実に幅広い領域について、これまでも提言をしてきています。

そして昨年は「電波割当」にもフォーカスが当たりました。前提として「Society5.0」という内閣府が掲げる科学技術政策があります。これからの社会はAIとIoTで大きく変化し、それによる経済発展と住みよい生活がもたらされる、という考え方です。

AIとIoTの活用には、電波が必要です。「Society5.0を着地させるには電波をもっとうまく活用したほうがいい」ということになり、今度は放送業界が規制改革推進会議の議論の対象になってきます。2017年11月の第2次答申では、放送と通信の融合を視野に入れて電波利活用を議論すると発表しました。

そこで総務省の「諸課題検討会」は分科会を設置して、そちらでも電波の利活用を議論することになりました。2018年1月には「放送サービスの未来像を見据えた周波数有効活用に関する検討分科会」というさらに長い名前の会議体が諸課題検討会の下に置かれて議論がはじまりました。

一方で「規制改革推進会議」はその後、放送業界の課題を洗いだすべくヒアリングを開始しました。その対象は多岐に渡り、民放連のような放送の当事者の団体から権利者団体や学者さんなどなどなど。その概要は規制改革推進会議の「投資等ワーキンググループ」の項目を見ればわかります。(参考:内閣府「規制推進会議」Webサイト

つまり総務省の長い名前の会議(諸課題検討会の検討分科会)と「規制改革推進会議」の投資等ワーキンググループの双方で、並行して議論が進んだわけです。

双方で、「今後放送局はどうなるのか」を議論した。「規制改革推進会議」のほうは、「今後放送局はこうなるから電波をこう整理できない?」と言いたいのでしょうし、総務省の会議では「今後放送局はこう進むからやっぱり電波が必要なわけ」と言いたいに違いない。同じようでベクトルの違う議論が二つの会議体で議論されていた。それが3月の騒動の前提です。ここまでで、十分ややこしいですよね。いちおう図にして整理しましたが、ここからいよいよややこしくなります。

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