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コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

『カメラを止めるな!』はなぜ爆発的にヒットしたか、考えられることを考えてみる

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ヒットの理由5:デジタル化したラジオもひと役

『カメラを止めるな!』は拡大公開が決まってから、テレビでかなり取り上げられました。7月25日の日本テレビ「スッキリ!」で「8月から日本中の映画館で拡大公開されます」と紹介されました。8月半ばにはテレビ朝日『報道ステーション』やフジテレビ『ワイドナショー』などに上田監督が出演していました。監督の飄々としたキャラクターで映画に惹かれた人も多かったでしょう。

8月末には映画の原案となった舞台の作り手が「自分は原作者だ」と主張し、それを『FLASH』が「パクリ」とタイトルをつけた記事にして騒動になりました。このパクリ疑惑はまたテレビのワイドショーなどで取り上げられて、結局は映画への興味を増幅しました。原案か原作かがどうなったかはともかく、かえって映画興行に貢献したようです。

テレビとは別に、ラジオでもっと前から取り上げられていたのは注目点でしょう。町山智浩氏は、コアな映画ファンが支持する影響力の強い映画批評家です。その町山氏がTBSラジオの「たまむすび」という赤江珠緒さんの番組でこってり紹介していました。これを書き起こしたブログがかなり読まれ、町山さんが勧めていたから見た、という人がかなりいたようです。

公開後には、同じくTBSの「アフター6ジャンクション」で今度はパーソナリティの宇多丸氏が『カメラを止めるな!』の熱烈紹介をしました。これがネタバレをうまく避けながら長々と語っていて、ものすごくそそられる内容。そしてこの時のトークは、TBSラジオによって書き起こされ、いつでも読めるようになっていました(TBSラジオ 宇多丸、『カメラを止めるな!』を語る!【映画評書き起こし 2018.7.6放送】)。

これは音声も放送後に聴ける状態になっていたので、耳で聴いた人も多かったでしょう。(いまはもう聴けない状態ですが)

ラジオはradikoによって若い層の一部の生活に入り込んでいます。放送時にradikoで聴いた人もたくさんいたのではないでしょうか。radikoにはタイムフリー機能もあるので放送後も聴けますね。またTBSはじめ一部のラジオ局は番組内容の書き起こしを最近はじめています。テキストで宇多丸氏の熱烈レコメンドを読んだ人もかなりいたはず。

拡大公開後の話題を広めたのはテレビですが、上映館が少なかった時期にラジオが大きな役割を果たしたと言えそうです。これもこの映画の面白い広がり方でした。

『カメラを止めるな!』について私が考えた「ヒットの理由」を書きつづってみました。でもこれですべてでもないと思います。あなたが感じたこと考えたこと知ってることもよかったら教えてください。私のTwitterアカウントは@sakaiosamuです。

それからこの映画のヒットの理由を探るセミナー「『カメラを止めるな!』のヒットはなぜ止まらないか?」もやるのでよかったら来てください!

境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)

1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。有料WEBマガジン「テレビとネットの横断業界誌 Media Borer」を発刊し、テレビとネットの最新情報を配信している。著書「拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来―」 株式会社エム・データ顧問研究員/電通総研フェロー お問合せや最新情報などはこちら