【前回コラム】「役者は勘違いさせてナンボ(ゲスト:三上博史)【前編】」はこちら
今回の登場人物紹介
※本記事は3月21日放送分の内容をダイジェスト収録したものです。
「性格俳優にはなるな」母の言葉の真意とは
権八:最近、出られていた映画『LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て』は、14年ぶりの映画だったんですか?
三上:いえ、“主演”がね。僕も全然意識してなかったんだけど、主演は14年経ってるらしいです。去年、沖田修一さんの映画『モリのいる場所』もちょこっと手伝ったり、映画はやってるので。
澤本:この映画を久々の主演作品に選んだ理由は何なんですか?
三上:チャレンジが好きなんですね。僕は15歳のときに寺山修司が映画を撮ったということからはじまっていて。撮影中に「こんな映画になるんだろうな」とわかる映画がほとんどの中で、寺山の映画は「こんな撮り方をしてどうなっちゃうの? このカットはどう使われるの?」って。だから、そういう現場は刺激的ですよね。比較的そういうものを選んできちゃう。
実相寺昭雄さんの『屋根裏の散歩者』、岩井俊二さんの『スワロウテイル』にしろ、どこに行っちゃうかわからない、というところに乗っかるのが好きですね。
澤本:僕は大学の卒業論文が寺山修司だったんですよ。
三上:へー!
澤本:ちょうど僕が大学卒業する頃って、三上さんがフジテレビのトレンディドラマと言われてるものに出てらした頃で。
三上:そのギャップが(笑)。
澤本:寺山修司に出ている人がどうしてこんな「逮捕する!」と言ってるんだろうと。
権八:『君の瞳をタイホする!』ね。僕、この前、「見てました」って言ったら、三上さんに「それかよー」って言われたんです(笑)。
三上:これは本当に長い話というか、簡単にするとどうすればいいんだろう……。僕は寺山と15歳で出会って。
権八:映画『草迷宮』ですね。
三上:はい、そこから大島渚さん、篠田正浩さんと、比較的面白く自分ではやってきたんですね。その中で二十歳のときに僕のお袋が死ぬんですけど、お袋は売れない女優だったんですよ、僕も知らないぐらいに。それで彼女が病室で死んでいくときに「どうするのこれから?」と聞かれて、二十歳だったから「まだ悩んでる」と。「やるのは構わないよ、やってもいいけど性格俳優にだけはなっちゃダメよ」と言って死んでいったんです。それが遺言みたいになっちゃったんですけど。
澤本・権八:えー!
三上:これは永遠の謎じゃないですか。どう捉えていいのかわからなくて、「性格俳優」という言葉はうっすらわかるけど、悪い意味じゃないですよね。
権八:そうですね。
三上:これはどういう意味だろうといろいろ考えた結果、僕がアート寄りの映画をやっていたので、それもいいけど、もっと多くの人に顔と名前を知ってもらえるような役者さんになりなさいよ、ということかなと思ったんです。
澤本:なるほど。
三上:確かにそうだなと思って、そこから僕は「名実ともに」という旗をとにかく掲げようと思って、仕事を大転換したんです。とにかく名前、顔を知ってもらおうと、ガーッとあの流れをやったわけです。だからそれをやっては実相寺さんに戻ったり、またこっち戻って、林海象さんとやったり。また戻って、山川直人さんとやったり。
澤本:寺山さんで卒論を書いた僕としては「寺山さんとどうやって知り合ったか」というのを聞きたいんですけど。
三上:寺山の卒論って、書いたのはどこだろうなと。寺山ってものすごく広くて、映像、言葉、短歌……本当に広いんですよ。
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