広告で「心理学」がタブーになった理由とは? 広告の歴史を学ぶ その③

サブリミナル広告の影響 心理学の知見は広告業界のタブーに

©123RF

みなさんはサブリミナル効果、という言葉を聞いたことがありますか?これはCMの映像の中に、ほんの一瞬視聴者が、気付かない程度にメッセージを盛り込み、無意識に働きかけるという手法です。たとえば、CMの映像の中に「ポップコーンを食べろ」というメッセージを入れることによって、知らず知らずのうちにポップコーンを買わせてしまうといった手法です。

現在では、米国や日本など多くの国でこのような知覚できないメッセージや画像を広告に使う、サブリミナル広告は禁止されていますが、この“無意識を操作”するという考え方はヨーロッパに端を発する精神分析、そして心理学の知見から来ています。

心理学を広告に取り入れるという考えは20世紀の半ば、米国が広告の黄金時代を迎えていた頃に始まったのですが、その後、急速に衰退して米・広告界ではタブーにさえなりました。その理由は、サブリミナル効果の実験の結果により、大衆が無意識のうちにマインドコントロールされるのではないかという話題が、スキャンダルとなったことがきっかけでした。

その①

その②

に続き、今回もポール・フェルドウィックの『Humbugの解剖』から、主に米国の広告の歴史について語っていきたいと思います。おさらいしますと、ポール・フェルドウィック氏は私が90年代半ばに所属していたオムニコムグループ傘下のDDBワールドワイドというグローバルエージェンシーの戦略プランニングのヘッドを務めた人です。紹介する『Humbugの解剖』は、彼が2015年に出版した書籍です。

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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