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コラム

第57回「宣伝会議賞」審査員リレーコラム

「宣伝会議賞で人生は変わる。」――佐久間英彰

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【前回】「『性悪』になってコピーを書こう――河西智彦」はこちら

第57回「宣伝会議賞」の募集が始まりました(応募締め切りは11月6日)!
第57回「宣伝会議賞」の審査員の方々のコラムをリレー形式で掲載しています。
第3回目は佐久間英彰さんです。

博報堂 関西支社
コピーライター/CMプランナー
佐久間英彰

1974年生まれ。主な仕事に、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン、南都銀行「南都家の一族」、日清食品「GoGo!阪神タイガースキャンペーン」、DyDo「miu」、セイバン「Made in Papan」など。カンヌ、ロンドン、電通賞、ACC、ギャラクシー賞、グッドデザイン賞、TCC新人賞、OCC新人賞など受賞。コピーライター養成講座大阪教室講師。関西大学非常勤講師。

 

宣伝会議賞。もはやコピーライター志望者や若手クリエイターにとって秋の風物詩です。

私も昔はチャレンジしていましたが、仕事が忙しいからとついつい締め切りギリギリになって考えだし、中途半端なコピーを出していた覚えがあります。もちろんそんな浅いコピーなど通るはずもありません。そんな中「毎年段ボール3箱は送りつけてるぜ!」(昔は無制限でした)と語る友達がいて「そんなに送るなんてやりすぎだろ」と鼻で笑ってましたが、なんとその年に友達はシルバーを受賞。出さない言い訳だけが上手くなる自分が恥ずかしくなった思い出が宣伝会議賞にはあります。

さて、本題です。

このリレーコラムを依頼された時、テクニック的なことを書いても、他の素晴らしいコピーライターがきっともっと役に立つ話をしてくれると思ったので、ちょっと違う切り口を書こうと思います。

宣伝会議賞で人生は変わる。(まじです!)

あれは忘れもしない、2012年か13年か14年の宣伝会議賞でのこと。長谷川工業さんの課題「おしゃれな脚立『lucano』をより多くの空間で使いたくなるコピー」でゴールドを受賞したCMがありました。そのCM案を実際に映像化してみては?という弊社営業とクライアントとの雑談からこの物語は始まります。

そのプロジェクトのスタッフとして営業や上司から呼ばれた私は「19歳のクリエイティブディレクター」という企画を提案しました。このCMをただ単につくるだけでなく、案を考えた筑波大学の学生である青木美菜代さん自身をクリエイティブディレクターとして起用しようという試みです。

クリエイティブディレクター(CD)という肩書きはクリエイターの憧れだけど、ある程度経験を積み全体を俯瞰できないと、なれない職種。そんな重要な職に突如就任した青木さんの葛藤や成長を描くドキュメンタリー映像も併せてつくることにしました。コピーは「きっと、夢に、手がとどく。」(脚立だけに。)

主人公である青木さんには、監督やスタッフと何度も打ち合わせをしてもらい、プレゼンだけでなくロケハンやキャスティング、撮影そして編集と全ての工程においてディレクションをしてもらいました。学生が突然プロの世界に放り込まれ、慣れない中で決断に悩むシーンも多々ありましが、数ヶ月にわたりCDとしての責任を全うしたことで一人のクリエイターとして大きく成長できたと思います。

ブレーン2013年10月号「宣伝会議賞ゴールド作品がCMになった!
アドタイ「広告化された宣伝会議賞 受賞作品(1)-クリエイティブ・ディレクターとして制作にも参加!

この成長は彼女が就職活動をする上で大きな武器となったそうで、電通さんから内定を取ることができました(博報堂はなんと書類審査で落ちたらしく、とても大きな損失ですね…)。今は有名なクリエイティブディレクターたちのもとでCMプランナーとして日々忙しく大活躍しています。この宣伝会議賞での貴重な経験が大きく活かされていることでしょう(知らんけど)。

彼女のような成長物語は、クリエイターを目指すみなさんにとって100万円をもらうよりも羨ましい話ではないでしょうか。それもすべては宣伝会議賞から始まっていたのです。(実は冒頭のシルバーを獲った友達も、翌年営業から制作に異動でき、彼にも成長物語がありました。)

人生は変わります。グランプリじゃなくても、多くのクリエイターがあなたのコピーを、あなたの名前を目にします。私なんかはTCC(東京コピーライターズクラブ)新人賞の受賞者名を見て「あれ?この人、宣伝会議賞であのコピーを書いてた子だ!」なんて気づくこともしばしばあり、思わず嬉しくなったりします。

宣伝会議賞に挑むということは、物事に対するあなたの熱意や姿勢が試されています。課題に真剣に向き合うことで得たコピー筋肉は裏切りません。というわけでこのコラムを今すぐ閉じて、課題に取り掛かることをお勧めします。

チャンスは自分で掴む。応募しないと受賞もありえません。宣伝会議賞はすべての人に門戸が開かれている賞です。さぁ次は、あなたの番です。(私は私で宝くじを買おうと思います。)

現在、第57回「宣伝会議賞」特設サイトを開設しており、11月6日まで応募を受け付けています。第57回「宣伝会議賞」の応募要項、課題一覧を掲載した月刊『宣伝会議』10月号は、現在絶賛発売中です。月刊『宣伝会議』11月号(10月1日発売)では、課題のオリエンを掲載いたします。