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コラム

NYから解説!日本企業のグローバルブランディング

実はスピーチが苦手!?「勝利宣言」にみるバイデン流プレゼンス

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【前回コラム】「米大統領選、トランプ氏の“オレンジ色肌”が拡大した理由とは」はこちら

「喋りがうまくない」と引け目に感じているビジネスパーソンの方は、決して少なくないだろう。しかし、スピーチにおいて最も大事なことは、自分の信念をどれだけ聞き手に伝えたいと切望しているか、である。

本稿では、次期米大統領選で当選確実となったバイデン氏のスピーチを分析し、企業のトップを中心としたビジネスパーソンに向けて、「バイデン流プレゼンス」のポイントを解説する。

11月7日に行われたバイデン氏の勝利宣言。
出所/CNN

冷静さと落ち着きを表現するには「水色」が有効?

バイデン氏が勝利宣言を行ったのは11月7日。この際の装いは、限りなく黒に近いダークネイビーのスーツに白のドレスシャツ。タイは落ち着いた水色で織り柄が入った光沢の美しいものを、プレーンノットで締めていた。もちろん黒いマスクも着用。スーツは夜のステージでライトが当たると最も強く美しく見える色で、シルエットも美しかった。

筆者は、彼のとても正統派でエレガント、シンプルでバランスの良いアピアランスに、冷静さと落ち着きを感じ、安心感を覚えたほどである。

つまり、勝利宣言の場でさえも、彼は「強烈さやシャープさ」を装いで表すことをしなかったのだ。おそらくその理由は、取ってつけたようになってしまうことや、自分らしい方式ではない、ということなのだろう。

また、アメリカ国内では選挙の開票について様々な議論がある中で、必要以上に国民の神経を逆撫でしないという判断もあったのだろう。水色のタイは、激しやすいジョージ・W・ブッシュ氏が「私は冷静です」という姿勢を示すために身につけたことでも有名だ。

バイデン氏の場合、過去に遡っても水色系のアイテムを身につけているシーンは多いし、実際彼の容姿や個性にも合っている。きっと、自分の平常心を保つという意味でも、一番自分が安心できる装いでステージに立ったのだろう。

体の軸をぶらさず正面を向き、大きな声で話す

ステージに登場したバイデン氏は、先にスピーチを終えたハリス氏と、拳骨にした両手をお互い突き合わせて喜びを分かち合った。その後、もう一回前に一緒に出ようと手で合図をし、2人揃って聴衆に挨拶をした。

それからマスクを外しながら演台に向かった。「Hello my fellow Americans」とゆっくり話し始めたその声に筆者は驚いた、あのバイデン氏がこれほどに大きな声で、それも熱を持って演説していることに。

演説中のバイデン氏のポスチャーは、非の打ちどころもなかった。頭が左右どちらかに傾きすぎることもなく真っ直ぐで、体の軸もしっかりしてぶれていない。顎も上がりすぎず下がりすぎず適度に正面を向いていた。

また、年を考えると肌の具合も血色も良い。目にも少し前と比べ物にならないくらいにパワーが宿っていた。また、77歳にしては首元が若々しい。アメリカ人でこの年齢の男性なら首・顎の下の皮にしわが出ることが多く、ここばかりは嘘がつけない部分でもある。

次ページ「トレーニングをしても、熱量がないスピーチは伝わらない」へ続く