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ニールセン、SVODでの視聴者分析を強化 ブランド露出も重視

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ニールセンはこのほど、ストリーミング動画配信(SVOD)における視聴測定を強化すると発表した。「Netflix(ネットフリックス)」など10のSVODサービス別に、視聴者数や視聴者層の分析を、通常のテレビの視聴率と合わせて提供する。

同社の調べによると、ストリーミング配信を利用できる家庭では、Netflixがテレビの総視聴時間の約7%を占める。また、同じ対象で、月に3〜4本のSVODサービスにアクセスしている家庭が3分の1である一方、広告付きのビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスを利用している家庭も約半数に上る。「YouTubeTV」などのバーチャルマルチチャンネル番組動画配信(vMPVD)サービスの利用者も増えてきているという。

ニールセンは、ストリーミング配信サービスの加入者が2024年までに2億1000万人と推定。広告配信をしないSVODサービスで注目されるのが、劇中に商品を登場させるプロダクト・プレースメントや、企業がエンターテインメントコンテンツを制作して配信するブランデッド・エンターテインメントだ。

NetflixとYouTube Originalsで配信されている『コブラ会』。写真はYouTube Originalsのもの

Netflixの『コブラ会』にエピソードを通じて車両が登場するメルセデス・ベンツは、18歳~49歳の視聴者に対し、約1カ月で4300万回以上のブランド露出を果たした。同作には米デルの製品も登場し、メルセデス同様に18歳~49歳の視聴者へのブランド露出が7000万回を超えている。こうした露出の広告効果をどのように測定するかが、SVODの隆盛とともに、重視されつつある。

米調査会社PQメディア(コネチカット州)によると、2020年の世界のプロダクト・プレースメントによる収益は、前年比0.4%減の204.9億ドルだった。新型コロナウイルス感染症の拡大で、2020年の春から夏にかけ、テレビ番組や映画作品の多くが制作中断や公開延期に見舞われたことが主な原因だ。

ただ、2021年は再び増加に転じ、20年比13.8%増となる見込み。2024年には328億5000万ドルという。PQメディアは、「Netflixをはじめ、米アマゾンの『Amazon Prime Video』や米ディズニーの『Disney+』、米アップルの「Apple TV+」などの大手配信サービスは広告枠を販売していないが、提供コンテンツにおけるプロダクト・プレースメントや、ブランデッド・エンターテイメント番組の制作が近年、急増している」と指摘する。

Netflixの『マイケル・ジョーダン:ラストダンス』。

同社が例として挙げるのはNetflixで配信中の『マイケル・ジョーダン:ラストダンス』。名プロバスケ選手マイケル・ジョーダン氏のキャリアを追いかけた番組シリーズで、ひとつのエピソード中にナイキのロゴが何度も映し出されるなど、高いブランド露出効果をもたらした。一方、ジョーダン氏の事務所が制作に関係していることで「ドキュメンタリーとは言い難い」との声もあがり、物議をかもしてもいる。全10話で平均視聴者数は565万人。チームを擁するシカゴ市ではシリーズ平均視聴率12.0%を記録した。

Amazon Prime Videoの『メイキング・ザ・カット』に出演するモデルのハイディ・クルム氏(写真左)と、ファッション・コンサルタントのティム・ガン氏。番組中では東京・浅草も訪れた

「Amazon Prime Video」で配信中のリアリティショー『メイキング・ザ・カット』は、Amazon.comと連動し、商品販売にもつなげている。集められた12人のデザイナーが毎回、ナオミ・キャンベル氏など著名人に審査され、選別されていく。コンペティションで勝利したデザイナーの製品は、Amazon.comの特設ページで実際に販売される。

また、スペイン系の放送局ユニビジョンは、既成の映像作品にデジタル加工によってプロダクトプレースメントする広告会社Mirriadと組み、ドラマ番組に広告を入れ込んでいるという。