日本広報学会は4月16日、「研究フォーラム(第4回)」を実施。研究者や実務家が集い、「ウクライナ侵攻に見る諜報(インテリジェンス)とプロパガンダ」「サステナビリティ情報の公開」「ネット世論形成と個人の攻撃性」など、今日的課題と広報に関するテーマについて発表、議論を行った。
また、こうした広報を取り巻く環境変化の変化を受け、「新たな広報概念」を定義するプロジェクトを学会で開始している。本研究フォーラムでは、その進捗報告を行った。学術と実務の交流する研究団体である学会として、今求められている広報の概念や用法の歴史的変遷の整理、研究を行っていく考えだ。
同プロジェクトでは、広報にまつわる多様な考え方を把握するため、予備調査として2022年3月、学会員を対象にオンラインアンケートを実施している(有効回答数は128件)。
調査結果によると、「一般的に“広報”の意味は理解されていない」と回答した人は82%となった。「広報と聞いてメディアリレーションズのイメージを持つ人が多いのではないか」といった意見が寄せられている。
また「広報とPRと宣伝」が一般的に同じ意味で使われていると感じている人が約7割にのぼった。「ソーシャルメディアにおいて、一般的に記事体広告の意味で#PRと表記すること」についてたずねる質問では、63%が「違和感がある」と回答している。
「Public Relations」の略語である「PR」の本来の意味合いから外れている、と問題視をする声が多い一方、言葉の意味は時代とともに変化している、実態と定義とのギャップを整理していく必要がある、といった意見もあった。
さらに、既存の「広報の定義」について、複数の中から共感するものを選ぶ質問では、「企業・行政機関など、さまざまな社会的組織がステークホルダー(利害関係者)と双方向のコミュニケーションを行い、組織内に情報をフィードバックして自己修正を図りつつ、良い関係を構築し、継続していくマネジメント行為である」(日本パブリックリレーションズ協会による定義)という表現が最も共感を集めた。
関係構築をしていく相手を「ステークホルダー」とするか「パブリック」とするか。広報を「マネジメント行為」と定義するか。より簡潔な定義ができないか、など学会では2023年末まで研究を行い、広報関連の他団体との意見交換の機会も設けていく予定だ。
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