人的資本調査2025 人的資本と財務の接続は13%

HR総研(ProFuture)は、HRテクノロジーコンソーシアム、人的資本と企業価値向上研究会と共同で、企業における人的資本経営と情報開示の取組状況を調査する「人的資本調査2025」を実施した。本調査は2022年から実施しており、今回で4回目となる。2025年9月から12月にかけて調査を行い、160社から回答を得た。

調査では、企業の人的資本経営の取組を「全社的な人的資本経営の体制」「リスクと機会の分析と戦略の立案」「人的資本投資の実行」「データドリブンなPDCAサイクル」「ステークホルダー開示と対話」の5領域に整理して分析している。今回の調査では、新たに人的資本関連のSSBJ基準や今後予定される内閣府令改正を踏まえた設問を追加し、制度対応の進捗や投資家の要請への対応状況も把握した。

エンゲージメント重視の傾向

分析の結果、人材戦略の中で重視する指標として「エンゲージメント」を挙げる企業が増加していることが明らかになった。今回調査では50%がエンゲージメントを重要指標として挙げ、前回調査の40%から10ポイント上昇した。次いで「育成」(28%)、「ダイバーシティ」(26%)が続いた。上位3項目の構図は前回調査と同様だが、「育成」が「ダイバーシティ」を上回った点が特徴となっている。

また、人的資本への投資として賃上げの動きも一定の進展が見られた。平均年間給与の増減率は全体として前事業年度から緩やかな増加傾向が確認された。ただし、分布を見ると賃金改定の中心は5%未満のレンジに集中しており、大幅な賃上げに踏み切る企業はまだ限定的である。業種別では「運輸・エネルギー」が平均6.5%と比較的高く、業種による差も見られた。

グラフ"

人材戦略の中で重要視している指標

財務との接続に課題

人的資本経営を企業価値と結び付ける取り組みには課題も残る。SSBJ基準で重視される「人的資本と財務情報の接続」について、「人的資本の取組と財務指標の関連について定性・定量ともに整理し、人的資本が財務にどの程度定量的に影響を与えるかを社外に開示している」と回答した企業は13%にとどまった。これに対し、「検討できていない、または検討を始めた段階」とする企業は48%と約半数を占めた。

人的資本施策を企業価値向上のストーリーとして示すためには、人的資本の取組が収益性や成長性、リスク管理にどのように影響しているのかを定量的に示す必要がある。今回の結果からは、多くの企業が人的資本を重視する段階には到達しているものの、その成果を企業価値と結び付けて示す段階にはまだ十分に至っていない実態が浮き彫りとなった。人的資本データと財務指標を結び付ける分析基盤の整備が、企業の今後の課題となりそうだ。

調査概要
HR総研(ProFuture)、HRテクノロジーコンソーシアム、人的資本と企業価値向上研究会
「人的資本調査2025」
調査期間:2025年9月10日~12月8日
有効回答:160社(うち上場企業84%)

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