KADOKAWA、北米リテール事業さらに注力 「Manga Spot」拠点に出版・MDとの連携強化

KADOKAWAが北米市場のリテール事業に、より一層注力し始めた。書籍・グッズ販売店「Manga Spot」の運営を強化していくという。

写真 「Manga Spot」ブルーミントン店の様子

「Manga Spot」ブルーミントン店の様子

KADOKAWAは4月27日、新会社「KADOKAWA Retail Ventures, LLC」の設立を発表。あわせて、北米事業統括会社であるKADOKAWA WORLD ENTERTAINMENT, INC.(以下 KWE)からの事業移管を発表した。北米市場におけるリテール事業の強化が目的。

KADOKAWAグループは、多彩なポートフォリオから成るIPを安定的に創出し、世界に広く展開することを中核とした「グローバル・メディアミックス with Technology」の推進を基本戦略として掲げている。その一環として、北米・中華圏・東南アジア・欧州を中心に海外拠点の事業基盤強化・拡大を進めている。

写真 コミック・ライトノベルが並ぶ店内(タウソン店)

コミック・ライトノベルが並ぶ店内(タウソン店)

現在、北米市場では日本アニメの爆発的な人気を背景に、コミック・ライトノベルの紙書籍市場が急拡大。こうした市場環境のもと、KADOKAWAグループも、現地子会社を通じて翻訳出版事業の強固な基盤を確立し、北米における紙書籍事業は好調に推移しているという。一方、その旺盛な需要に対し、書籍やIP関連グッズを直接手に取ることができる実店舗が不足している地域が依然として多く存在していた。

そのような背景もあり、KADOKAWAグループの北米事業を統括するKWEは、ファンのニーズに応え、新たな販売チャネルを確立するため、2023年10月にニューヨークにて書籍・グッズ販売直営店「Manga Spot」をオープン。「Manga Spot」は、出版事業と連携した豊富な品揃えや店舗限定商品、サイン会やアニメと連動したイベント展開などにより、現地のファンからも高い支持を得ており、現在は10店舗まで拡大している。

IP関連グッズも豊富に取り揃える(ブルーミントン店)

IP関連グッズも豊富に取り揃える(ブルーミントン店)

こうした実績を踏まえ、リテール事業を通じたファンとの直接的な接点構築が、北米市場におけるさらなる成長の鍵であると確信。2026年2月、新たに専門組織としてKRVを設立した。代表には、北米子会社であるYEN PRESS, LLCの社長で、長年にわたり日本コミックの翻訳出版を手がけてきたKurt Hassler(カート・ハスラー)氏が就任。今後は新体制のもと、専門性を活かした迅速な事業推進を図っていく考えだ。

KRVは、「Manga Spot」をグローバル・メディアミックス戦略の重要なハブと位置付け、北米における店舗ネットワークの拡張を本格的に加速、グループシナジーの最大化を推進を担う。あわせて、店舗運営の効率化を図るとともに、出版・MD(グッズ)事業との連携を一層強化することで、グループ全体の収益性向上と持続的な成長を図る。

KADOKAWAグループの北米拠点

会社名 概要
KADOKAWA WORLD ENTERTAINMENT, INC. KADOKAWAグループの北米事業を統括。グループのさらなる成長に向け、北米における紙および電子書籍の出版事業、電子書籍ストア事業、ニュースメディア事業、ならびにリテールおよびグッズ事業を横断的に支援・推進するとともに、新規ビジネスの開発にも取り組んでいる。
YEN PRESS, LLC 2016年に米国の大手出版社Hachette Book Groupとの合弁会社として設立。北米市場で日本のマンガ・ライトノベル市場を開拓したリーディング・カンパニーであるとともに、オリジナル作品の開発や、北米外への展開など、積極的に事業を推進している。
M12 Media LLC 2016年設立のJ-Novel Club LLCが、2025年に社名変更。現在は、日本のライトノベルやマンガの英語翻訳出版を行うJ-Novel Clubと、総合電子書籍ストアBOOK☆WALKER Globalを運営。サブスクリプションを通じたチャプター先行配信から、主要パブリッシャーを取り扱うストア運営まで、高品質な読書環境を提供している。
ANIME NEWS NETWORK LLC 日本発のアニメ、マンガ、ライトノベルなどのコンテンツ関連の最新ニュースを、北米を中心とする全世界の英語圏市場のユーザー向けに配信するメディア事業を展開。作品データベースやユーザー間の交流フォーラムも運営し、北米最大規模の専門プラットフォームとしての地位を確立している。

KADOKAWAグループの海外実店舗ブランド

エリア ブランド 概要
アメリカ Manga Spot 2023年10月にニューヨークに1号店をオープン。現在はニューヨーク、シカゴ、シアトルなどで10店舗を運営。KADOKAWAグループおよび他社作品の英語版コミック・ライトノベルをはじめ、米国発コミックやIP関連グッズなど幅広く取り扱う。アニメコンベンションと連動したイベントやサイン会も積極的に実施。
タイ PHOENIX NEXT 2023年開業。バンコクの主要商業施設をはじめ、タイ全土に8店舗を運営。タイ語版のマンガ・ライトノベルに加え、人気作品の特装版や限定グッズの展開により、現地のファンから高い支持を得ている。
香港 角川香港動漫店 2024年開業。角川香港のオフィス内にショップ兼ショールームとして設置。中華圏における商品宣伝や企業ブランド認知度拡大を目的としており、日本および中華圏拠点が発行する書籍の特装版や限定グッズなど、幅広い商品をラインナップしている。
上海 天角製造 2025年開業。ACG(アニメ・コミック・ゲーム)関連ショップが集結する商業ビル「百聯ZX創趣場」に出店。天聞角川が手掛ける書籍やグッズの販売に加え、店頭イベントを通じて現地ファンへブランド・IPの魅力を訴求している。
インドネシア PHOENIX ANIME STORE 2025年開業。ジャカルタの大型書店チェーン「Gramedia」の店舗内にオープン。書店内という立地を活かしてIP関連グッズを展開し、メディアミックス効果の最大化を図っている。
マレーシア K+ 2025年開業。クアラルンプールの大型商業施設内にオープン。現地拠点KADOKAWA GEMPAK STARZの書籍やIP関連グッズなどを展開。IPのプロモーションと並行し、現地のファンコミュニティ構築を目指している。
advertimes_endmark

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事