アカツキは5月13日、サニーサイドアップグループとの経営統合に向け、同社株式に対するTOBを実施すると発表した。TOB成立後、経営統合の母体となるアカツキは「サニーズホールディングス(仮称)」へ商号変更する。アカツキを株式交換完全親会社、サニーサイドアップグループを株式交換完全子会社とする株式交換も予定している。TOBの買付価格は1株1320円で、買付代金は約139億円。なお、サニーサイドアップグループの次原悦子代表の資産管理会社が保有する一部株式はTOBに応募せず、その後の株式交換の対象となるため、この金額はTOBによる現金買付分を示す。
アカツキは、デジタルコンテンツやIPプロデュースを通じて培ってきたエンターテインメント領域の知見を持つ。一方、サニーサイドアップグループはPR・ブランディングを軸に、企業、ブランド、スポーツ、エンターテインメント領域で幅広いネットワークを有してきた。両社は今回の経営統合により、IPの開発・発掘・育成からグローバル展開までを、デジタル、アナログ、リアル、AIを横断して推進する “IPの総合商社” を目指すとしている。
今回のTOBは、単なるPR会社の買収というより、IPビジネスにおける「出口」を広げる動きと見ることができる。アカツキはデジタル領域におけるコンテンツの企画・運用、グローバル展開に強みを持つ一方で、リアル領域における顧客接点の創出やPR・ブランディング施策には課題があった。サニーサイドアップグループはその逆で、リアル領域でのPR・ブランディングに強みを持つ一方、デジタル領域のコンテンツ企画・運用、グローバル展開、成長投資のための資本力に課題があると整理されている。
横浜アソビルからHappyくじへ
両社には、すでに一定の協業関係があった。アカツキグループは2019年、横浜市の複合エンターテインメント施設「横浜ASOBUILD(アソビル)」のローンチにおけるPR活動をサニーサイドアップに依頼したことをきっかけに、断続的にPR業務を依頼してきた。さらに2024年7月下旬からは、サニーサイドアップグループがブランドコミュニケーション事業内で展開する商品企画「Happyくじ」で、アカツキグループが強みとするオンラインくじとの協業を開始している。
「Happyくじ」は、サニーサイドアップが企画元としてIPコンテンツを発掘し、版権元と共同で商品を企画して販売先へ提案し、グッズ制作まで手掛ける商品企画。アカツキは今後、同社が持つIPホルダーとのネットワークやデジタル開発力、グローバルEC、海外向けマーケティングの知見を活用し、Happyくじの取扱IPの拡充、マーチャンダイジング領域のデジタル化、海外市場への展開を進める構想を示している。
アカツキが取りに行くのは、IPをゲームやコミック、ECだけで展開する力ではない。リアルイベント、商品化・グッズ展開、店頭・施設でのプロモーション、企業タイアップ、ファンコミュニティ形成まで含めて、IPと生活者の接点を増やす力だ。開示資料でも、こうした施策を通じてIPの認知度向上、ファン層の拡大、ファンエンゲージメントの強化、収益機会の多様化、ライフサイクルの長期化を図る考えが示されている。