高度なAIではなく全体を統べるAIが必要
国内電通グループの4社、電通、電通デジタル、電通総研、イグニション・ポイントは5月25日、独自のAI戦略「AI For Growth」を「AI For Growth 3.0」に刷新した。あわせて、企業のマーケティングプロセス全体を支援する統合AIプロダクトシリーズ「AI For Growth Suite」の提供を開始した。
「AI For Growth Suite」は、電通グループが培ってきたマーケティング領域の実践知を組み込んだ複数の専門AIツールと、AIエージェントプラットフォーム、データ統合・分析基盤で構成される。生活者理解、商品企画、アイデア創出、戦略立案、メディアプランニングなど、これまで人の専門性に大きく依存していた業務を、AIによって横断的に支援する狙いだ。
発表会で、電通グループの国内事業を統括するdentsu Japanの佐野傑CEO(電通グループ社長)は、AI活用の位置づけについて「単なる効率化ツールではなく、クライアントの持続的な成長支援やイノベーションを生み出す存在」と説明した。クライアント企業が求めているのは高度なAIそのものではなく、事業成長や企業価値向上であるとし、AI、データ、クリエイティブ、メディアを統合して事業課題に向き合う必要性を強調した。
汎用AIだけでは専門業務は物足りない
同社は2024年に「AI For Growth 1.0」としてAI活用のビジョンを示し、2025年には「AI For Growth 2.0」でマーケティングのAIネイティブ化を掲げた。今回の3.0では、構想やPoCの段階から、企業の実業務に専門AIを組み込む「実装」フェーズへ移行する。
背景にあるのが、生成AI活用の広がりに伴う課題だ。dentsu Japan チーフ・AI・オフィサーの並河進氏は、ChatGPTやGeminiのような汎用型LLMについて「非常に賢い」としつつも、「マーケティング業務の知見や実務経験があるわけではない」と指摘。汎用AIに、マーケティングの専門知見や業務の進め方を学習させることが重要だと話した。
