旭化成ホームズは2006年から、一般的な「ペット可」より一歩踏み込んだペット共生型賃貸住宅を展開し、6月で発売20年を迎えた。管理戸数は2万戸を突破。4月には、分散していたペット共生の商品・サービスを新ブランド「PAWTNER(パウトナー)」に集約した。
ペットを家族の一員とみなす意識は広がっている。6月7日付の朝日新聞が紹介した調査では、6割がペットを家族と考えているという。また、環境省が改訂を進める「人とペットの災害対策ガイドライン」にも、災害時に飼い主がペットと安全な場所まで避難する「同行避難」が盛り込まれる方針だ。
家族として迎えた後、住まいや外出先でどう共に暮らすのか。「ペット可」と「ペット共生」の違い、オーナー側のメリット、住まいの外へ共生を広げるスマートドッグハウス「WanPod」の狙いを旭化成ホームズに聞いた。
「飼ってもいい」から「共に暮らす」へ
旭化成ホームズによると、「ペット可」と「ペット共生」に厳密な定義はない。ただし、前提とする暮らし方には違いがある。同社は「『ペット可』は『飼ってもいい』という消極的なニュアンスだが、『ペット共生』は『ペットと共に生きる』ことを前提とする考え方」と説明する。
一般的なペット可物件では、飼育者と非飼育者、動物が好きな人と苦手な人が混在し、飼い主が周囲に気を遣うこともある。一方、PAWTNERは、入居者がペットと暮らすことを前提に設計する。
室内には、ペットが滑りにくいフローリングや、傷や汚れが付いた部分だけを張り替えやすい壁クロス見切り、収納下を活用したペット専用スペースなどを設ける。玄関やキッチンへの飛び出しを防ぐフェンスドア、室内を自由に行き来できるペットドア、臭いを抑えるイオン発生器なども用意する。猫向けには、室内を立体的に移動できる「ねこ道」などを採用している。
共用部にも、散歩後に使える足洗い場やドッグラン、入居者同士がペットを介して交流できるスペースを設ける。外出中でも室温や湿度を確認し、エアコンを操作できるIoT設備も取り入れている。
こうしたハード面だけでなく、入居前から入居後までを含む運営の仕組みも整えている。入居前には、ドッグトレーナーや獣医師などの専門担当者がペットのしつけ状況や行動、飼い主のマナー意識を確認する。入居後も、しつけ相談、ドッグトレーナーの出張サービス、ペットセミナー、入居者向けイベントなどを提供する。同社はこれにより、「マナー意識の高い入居者とペットが選定・維持」されると説明する。飼い主が気兼ねなく暮らせるだけでなく、オーナーにとってもトラブルや建物汚損への不安を抑える仕組みになる。
入居者調査では、総合満足度は94.3%。「物件探しに苦労したので、今の住まいが見つかってよかった」と答えた人も88.7%だった。
高家賃でも選ばれる 3年で管理戸数ほぼ2倍
PAWTNERの管理戸数は、2022年度の1万425戸から2025年度には1万9911戸となり、2026年4月に2万戸を超えた。
旭化成ホームズは、ペットと暮らせる賃貸住宅の需要に対して、供給がまだ少ないとみる。供給が増えにくい理由は、オーナーが抱える近隣・入居者間のトラブルと建物汚損への不安だ。PAWTNERは、入居前の審査と入居後の支援で、この不安を抑えてきた。
ここ3~4年に戸数が倍増した理由には、需要と供給の両面が影響したとみる。ペットにかける費用が増え、家賃が高くても設備やサービスの整った物件を選ぶ人がいる。一方、ファミリータイプの賃料上昇により、建築費が高騰する中でもオーナーが事業収支を確保しやすくなったという。
また、競合物件がまだ少ないこともあり、高い賃料水準と入居率を維持しやすいとする。同社管理物件の入居率は2025年度末時点で97%だった。同社は「ペットと安心して暮らせることは不変の価値で、築年数による需要低下を招きにくい」とみている。

