広告代理店とコンサル。2つの業種が比較されるようになったのは、いつからだろうか。そして2社の関係は「競合」なのだろうか。それとも「融合」なのだろうか。「似て非なるもの」なのだろうか。それとも「似たもの同士」なのだろうか。
このコラムでは、電通が広告代理店からコンサルに変わっていく過程を中から見て感じていたこと。3年前に電通を飛び出して、代理店ともコンサルとも付き合う経営者になってから感じたこと。それらをこの20年間の日本企業における諸問題と絡めて書いていこうと思う。
先に仕掛けたのはどっち? 狙われた「効果検証」
広告代理店とコンサル。この話をはじめる前に、この20年における変化の大前提を確認しておきたい。具体的にはこの20年で増えたもの、減ったものを確認しておく。増えたものはデジタルテクノロジー。これまで見えなかったもの、計れなかったもの、それがデジタルの力によって可視化された。数値化された。視聴者の声、消費者の声はSNSで見える化したし、仰々しい調査なんて不要になった。視聴率や売上といった「大きな数字」しか解らなかった時代から、それに至るまでの過程も全てログとデータで検証できるようになった。
逆に減ったのは「マスメディアの影響力」だ。これは減ったと言うより「分散した」と言う表現の方が正しいかもしれない。
1つのメディアが大きな力を独占していた時代が終わり、その影響力が分散しはじめた。夜はリビングに家族が集まり、1つのテレビで流れる地上波番組を「チャンネル権」と呼び奪い合っていた時代は確かにあった。それが今や、各々の部屋で各々のスマートフォンを眺めている。スマートフォンで見るのはYouTubeやNetflix、SNSやAIとの会話。地上波で流れるコンテンツ、テレビCMは「選択可能な何千万という情報コンテンツの1つ」に成り下がった。
この前提の中で、広告代理店とコンサルの物語は進んでいく。お互いの領域侵犯とも言える2者の構造だが、先に仕掛けたのはコンサル側だった。私は当時、広告代理店にいたので「攻め込まれた」という印象を抱いたことを覚えている。では、どの領域が狙われたのか。それは「広告効果の検証」だ。
まず、当時の広告代理店が付き合っていたのは企業の宣伝部だ。対してコンサルが付き合っていたのはより経営に近い領域。経営企画部をはじめとする主に上層部だった。経営企画部は各部署の予算を管理していることが多い。つまり広告代理店が宣伝部からもらっていた「予算」を管理するのは経営企画部だ。莫大な広告費を使ってTVCMの広告枠を購入し、有名なクリエイターやタレントを使ってCMを制作する。経営企画部はその割り振りや検証を担う立場だったが、宣伝部からは「話題になりました」とか「営業支援になりました」とか、曖昧な返答しか返ってこない。
「そういうものですから」と宣伝部から言われていた経営企画部だが、そのパートナーであったコンサルから指摘が入る。「これだけ莫大な費用をかけているのだから、ちゃんと効果検証させるべきじゃないですか?」とか、「テレビCMの効果って落ちているのではないですか?」と言われる。2010年前後には、こんなやりとりが多くの大企業で起こっていたはずだ。

