「インターナルコミュニケーション研究会~企業行動に変革を起こし、イキイキとした組織を~」
【趣旨】社内エンゲージメントアプリプラットフォーム「UNITE by Yappli」を提供するヤプリと宣伝会議が共同で研究会を2024年4月に発足。従業員一人ひとりが活躍できる状態を生み出すため、経営機能としての広報が果たすべき役割や、風通しの良い企業風土を醸成するインターナルコミュニケーションのあり方等を議論している。
2026年度の研究会では、過去2年間の「インターナルコミュニケーションとは何か」という議論から一歩進み、「インターナルコミュニケーション(IC)は組織の何を変えるのか」をテーマに据えている。
今回は、社員の行動を一過性で終わらせず、理念や日常行動として定着させるまでのプロセスに着目。その前段階で何が蓄積され、育まれているのかを考えるため、「醸成」をキーワードに設定した。
参加企業一覧
DUNLOP(住友ゴム工業)
コメ兵ホールディングス
シャープ
大和ハウス工業
KCJ GROUP
東レ
JTB
イオン
エイチ・ツー・オー・リテイリング
TBSテレビ
イトーキ
エターナルホスピタリティグループ
カッパ・クリエイト
オリエントコーポレーション
ルネサンス
キタムラ・ホールディングス
JCOM
キッコーマン
日清食品
マイナビ
メルカリ
ヤプリ
京セラ
三菱UFJ信託銀行
商船三井
小林製薬
西日本旅客鉄道
村田製作所
大阪ガス
島津製作所
堀場製作所
日本特殊陶業
良品計画
行動をどう持続させるか
当日は、クロストークとグループワークを実施した。
クロストークには、大和ハウス工業広報企画部 企画アーカイブグループグループ長の杉田徹氏と、コメ兵ホールディングス コーポレート本部 経営企画統括部 経営企画部 広報Gの長谷川奈々氏、研究会アドバイザーの岡部一志氏が登壇。モデレーターはヤプリ執行役員CMOの近藤嘉恒氏が務めた。
冒頭、近藤氏は「継続」を発信側が活動を続けること、「浸透」をその結果として理解や行動が生まれた状態と整理。その間で変化が少しずつ積み重なるプロセスを「醸成」と捉えた。
トークの最初の問いは、「一度動いた社員が、動き続けるために、今何をしているか」。杉田氏は、「社員のリアクションを見ること」の重要性を挙げた。大和ハウス工業のウェブ社内報の自由投稿企画には、批判的なコメントが寄せられることもある。杉田氏は、そうした反応も「動いてくれた証拠」と捉え、社員の声を受け止め、組織横断で応答を重ねることが、次のコミュニケーションにつながると話した。
一方、コメ兵ホールディングスでは、理念や価値観を人事制度と接続。長谷川氏は、コメ兵ホールディングスの人材マネジメントでは、パフォーマンスをスキルだけでなく「気持ち」との掛け合わせで捉えていると説明した。特に、中核事業会社の株式会社コメ兵では、「誠実であること」「協調すること」「挑戦すること」「楽しむこと」といった同社のバリューの体現度を評価に組み込み、賞与や昇給にも関わる仕組みとすることで、価値観を日常業務の中で意識する機会をつくっている。
理念を判断基準に変える
続いて議論したのが、「理念を知っている」状態から「理念で判断する」状態へ、どう変えていくかだ。
コメ兵ホールディングスでは、来年創業80周年を迎えるなか、その先の100年まで見据え、グループで共有する価値観をあらためて整理している。
近年、M&Aや海外展開が加速する中、グループ共通で何を大切にするのか、各社の個性とは何なのかを整理するワークショップを実施。現在は、そこから見えてきた共通項を、どう浸透させていくかを検討している段階だという。
一方、大和ハウス工業では、長年にわたり創業者の考え方を伝えてきたことで、「スピードは最大のサービス」などの言葉が社内に広く共有されているという。ただし杉田氏は、理念を知っていることと、それを判断基準として使えることは別だと指摘。ある事象に対して、自社の理念に照らせばどう判断するのか。その経験を繰り返すことが必要だと述べた。
クロストークの様子。
管理職を担い手に変える
次に取り上げたのが、中間管理職の役割だ。
杉田氏は、「中間管理職」ではなく「中間育成職と考えた方がいいのではないか」と提起。管理業務に時間を取られ、育成に十分な時間を割きにくい現状を指摘し、育成そのものを評価する仕組みも必要だと述べた。
コメ兵ホールディングスでも、リーダー層を理念や文化の担い手と捉えている。同社では「未来会議」などの場を設け、リーダーがトップの思いを直接聞く機会を用意している。組織が大きくなるほど、経営のメッセージを社員一人ひとりに直接届けることは難しくなる。そのため、リーダー自身が経営の考えを理解し、自組織に合わせて伝えていく役割を担う。
クロストークでは、中間層を「伝達者」ではなく、経営の意図を現場に合わせて翻訳し、行動を促す「推進者」として捉える必要性が共有された。
「醸成」を支える条件
会の後半では、参加企業がグループに分かれ、「動き続ける組織」を支えるために、それぞれの企業で何を醸成しているのかを議論した。議論から見えてきたのは、以下の5つの点だ。
1.理念や価値観を現場の行動へ翻訳する仕組み
2.社員自身が考え、解釈する対話機会
3.現場社員の行動を起点にした文化形成
4.中間管理職を巻き込む仕組みづくり
5.行動変化までを見据えた効果測定
効果測定については、閲覧数や参加数だけでなく、「理解」「共感」「行動変化」など段階的な指標を設ける必要性が挙がった。
アドバイザーを務める岡部一志氏は、こうした議論を研究会の中だけで終わらせず、自社のIC計画に落とし込むことの重要性を指摘した。特に効果測定については、何が「正解」かを待つのではなく、自社の経営観点でIC活動のより効果的な役割や成果を示す仕組みを一度考え、シミュレーションしてみることが必要だと話した。また、中間管理職についても、まずは自分たちの身近な組織(例えば広報部門内)で、伝達者から推進者へどう変えていくかを考えてほしいと参加者に呼びかけた。
今回の研究会では、社員の感情や行動、関係性の積み重ねに着目した。日々の小さな行動や対話が、やがて組織らしい行動や文化につながっていく。「動き続ける組織」を支えるICの条件が、各社の実践と議論から見えた。
本研究会では、今回の議論をさらに深める場として、2026年12月2日に公開セミナーの開催を予定している。
グループワークの様子。

お問い合わせ
株式会社ヤプリ
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