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「これまでにない施策が成果呼んだ」福岡市カワイイ区の仕掛け人が語る

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篠田さんの表敬訪問をきっかけに実現

カワイイ区

都内で行われた記者会見には、高島市長と篠田麻里子さんが出席。

8月29日に開設し、わずか1日あまりで1万5千人、現在3万4千人の“区民”登録を得た福岡市の仮想行政区「カワイイ区」。シティプロモーションの一環として、福岡市市長室の広報戦略室が仕掛けた。その狙いを、同広報戦略課の大倉野良子氏に聞いた。

「『カワイイ区』の施策は、首都圏の20~30代を中心とした若い層に完全にターゲットを絞った施策です。女性がカワイイ、食べものが美味しい、人が親切…といった、皆が“何となく”知っている福岡の魅力を改めて伝えることを目的に始めました。『○○ができました!』といったニュースを発信するのではなく、福岡市に元々ある特徴を、新たな切り口で見せようと思ったんです」。

企画の発端は、今年3月。現「カワイイ区」の区長である篠田麻里子さんが、福岡市長の高島宗一郎氏を表敬訪問したことにさかのぼる。「篠田さんは、福岡出身。福岡にいる友人たちが元気になるようなことに協力したいと、そのときお話をいただいたんです」。

福岡市では、この申し出をもとに、篠田さんを区長とする8つ目のバーチャル区を設立し、首都圏の若者にアピールするという企画を立て、制作を担当する電通と共に、サイト開設の準備を進めた。「予算の制限もあるため、基本的に展開はネットに絞り込みました。私たち自身もどうなるか正直予想がつきませんでした。それでも、とにかく新しい切り口で都市ブランドの発信をしたいということで、8月の開設に至ったんです」。なお、当初の区民登録の目標は1万人。これは、福岡市の人口が8月現在で149万人であることから、150万人都市を突破を目指して設定した数字だった。

これまでにない層に出会えた

カワイイ区

カワイイ区Web

そして8月29日。首都圏の若者にアピールするという戦略に沿って都内での記者発表を実施したところ、多数のメディアに露出、大きな反響を得た。だがテレビのパブリシティ以上に、ソーシャルメディア上の広がりやヤフーニュースの記事の力を実感したという。「篠田さんの発信力の大きさには驚きました。予想をはるかに上回る反響をいただくことができました。Facebookの登録者を見ると、半分以上が首都圏在住者で、年代は20~30代が中心。男女比もバランスよく、狙い通りの人たちに届いたと実感しています」。

「カワイイ区」のサイトでは、現在区民登録の受付を進めているが、9月下旬からは「特別住民票」の発行も予定している。住民票の発行は有料で300円だが、これは福岡市で本物の住民票を発行するときの価格だという。購入はサイトでも行えるが、市役所1階の証明サービスコーナーでも発行する。「市役所の1階は、4月にリニューアルしたばかり。新しいカフェができたり、観光情報を取り揃え、さらに目の前がオープントップバスの発着所になっています。住民票を発行するために、一人でも多くの人にこの場所を訪れてもらいたい、というのが住民票発行の狙いの一つです」。

さらに、今後カワイイ区の趣旨に賛同する市内外の企業・団体にロゴの提供、名義後援も行っていく。

これまで市役所広報では出会えなかった層にリーチすることができたのが今回の一番の収穫、と大倉野氏は語る。「新しい取り組みを行ったことで、今までの紙媒体やHPでの情報発信では得られなかった成果につながりました。今後は、登録してくれた方々が楽しんでいただけるような情報を届けながら、この盛り上がりを福岡の経済の活性化につなげていきたい」と話した。