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7月31日、世界保健機関(WHO)は、エボラ出血熱の感染拡大に関して「前例のない規模」との報道声明を発信し、「感染拡大の規模と脅威から、新たな段階の対策を取る必要がある」と指摘した。
今回のエボラ出血熱による感染は、今年2月にギニアで始まった後に隣国のリベリア、シエラレオネに広がり、3カ国で感染が拡大、医療関係者の感染も相次いで発生、防護服でも防げず100人以上が感染した後、半数が死亡したとの報道も確認されている。
アメリカの政府組織「平和部隊」が30日に、活動を続けていた約340人のボランティアを一時国外退避させるとの発表も行われている。
7月30日に世界保健機関アフリカ地域事務局によって発表された情報によれば、累計感染者は1440人、累計死者は826人、死亡率は57%となっている。
これまでの最大の死者数は、1976年に発生したザイール(現コンゴ民主共和国)での280人で、累計感染者は318人、死亡率は88%だった。今回の拡大感染は、その当時の3倍~4倍に相当する被害者を出している。さらに、現在も加速度的に被害者が増加しており、これまでの感染発生状況とは異なる点も指摘されている。
世界保健機関では、今回のエボラ出血熱ウイルスには変異があり、いわゆる「新株」であるとの発表があり、変異の概要には以下の3つの特徴が指摘されている。
- 潜伏期間が長い
- これまで確認されているエボラウイルスに比べて死亡率が低い
- 強力な感染力
特徴として、潜伏期間が長くなることで遠くまでウイルスが運ばれ、宿主が死亡しないこと(これまでの死亡率は約90%だが、今回は57%)でウイルスが長く残り、感染拡大となったと言われている。一部の専門家の間では、訓練を受けた医療関係者が、防護服でも防げない状況から、空気感染の可能性を指摘しており、強力な接触感染によって被害が広がっているとの報告もある。
さらに、エボラ出血熱の感染が水際で防げず、航空機を通じて広がる事態も発覚している。リベリアから航空機でナイジェリアに入ったアメリカ人男性が感染し、数日後には病院で死亡が確認された。
米疾病対策センターは、7月28日に、初期症状が発熱や喉の痛みなど、エボラ出血熱と判別しにくく、潜伏期間も2日~21日と幅があり、水際阻止そのものが難しいとの警告を発している。
アジア圏では、香港において懸念者が発生し、検査結果は陰性と確認されているが、いつどこで航空機を通じて日本へ感染拡大してもおかしくない状況となっている。
厚生労働省検疫所や国立感染症研究所感染症情報センター、外務省海外安全ホームページでは、今回のエボラ出血熱について以下のURLで情報を提供している。
また、「国境なき医師団日本支部」は、今回のエボラ出血熱に対する活動状況を定期的にそのホームページで掲載し、現状を訴えているので、ぜひ一読して頂きたい。
「エボラ出血熱」に関する記事はこちら
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