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コラム

「ヴィレッジヴァンガードに学ぶお店づくり~こんなんだってあり~」

ヴィレヴァンの「ごちゃまぜ」陳列論~店舗は三次元の雑誌のように

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【前回コラム】「ヴィレヴァン「逆理」の仕入れ術~無理でしょ、いや無理じゃない」はこちら

こんにちは、ヴィレッジヴァンガードの関戸です。
今回は、ヴィレヴァン特有の陳列について少々。店舗によって前後しますが、取り扱っている商品は数万アイテムあり、これらをすべて把握し、白いキャンバスに絵を描くように配置していきます。店舗でのエピソードも交えながら、ヴィレヴァンの売場は何を意識してあのようなごちゃまぜ陳列に至ったのかをすこし解き明かしていきたいと思います。
今回も個人的な見解が少なからず含まれることはご了承ください。

朝っぱらからツインギターをかきならす

ある日の朝のこと、一人の男性がオープンと同時にご来店された。店内をやや足早に歩きながら何かを探していらっしゃるような感じだった。声をかけようかとも思ったが、ひとりで店内を楽しんでいらっしゃるかもしれないので、さりげなく気にしながら、そっとしておいた。だが、数分後、その男性はしびれをきらしたのか、私のところにつかつかと歩いてきた。

「あの~ギターありますか、ギター」

「あ~、音楽系雑誌の横にありますね」

「えっ、そんなとこにあんの??」

「ご案内しますよ」。

ギターならあるぜと思いながら、ひとまず、お客様をその場所にお連れした。

「ギターって、これなんですけどね」。

お客様に商品を紹介しようとしたら、

「いやいやいやいや、そうじゃなくて」

「えっ?」

「ギターじゃなくて、下駄なんだけど」。

そっちだったんか~い。一瞬、頭の中が混乱して動揺したが、そういえば、あるわ、下駄。

「あ~ギターじゃなくて、下駄ですかぁ。こっちですね」

「えっあんの?」

「こっちです」。

コミックコーナーの奥に進んでいくと、
スポ根マンガのコーナーに「ゲター」は見事に陳列してあった。

そのお客様は、「あったあった」と喜んで朝一番に「下駄」を買っていかれた。どういうシチュエーションで「下駄」を必要に迫られたのかいまだに想像もつかないのだが、ともかく、そのときはお客様のなかばあきらめ気味の期待に応えられて非常に嬉しい気持ちになったのを覚えている。

路面店はこんな感じ。これは名古屋の本店。

棚に入らなそうなら空中からぶら下げる。

次ページ 「お前にチャレンジ精神はあるか」へ続く