効率やデータだけではお客様の期待に応えられない
ヴィレヴァンではひとつの商品からお客様を想像し、これが好きならこれが好きだな、これ買ったら次はこれが欲しくなるな、こういうひとにはこれをオススメしたいな、こんな連想ゲームのような発想で売場を広げていく。
店舗のスタッフたちは毎日お客様に触れ、彼らのココロの中にどんなフックがあるか探究し、「データ×感性」を掛け合わせることで売場をデザインしていく。これは管理上のオペレーションを考えたら、非常に非効率だ。だが、効率を求めることがお客様のためになるかと言えば、これは完全にイコールではなく、作業量はもちろん膨大になるのだが、お客様にワクワクするような独創的な空間を提案することが我々の使命だと考えた。
モノは売らずに想いを売る~「なんか」を売るお店
ヴィレヴァンは衝動買いの店だ。
来店してくださるお客様に明確な目的なんてあまりない。強いて言えば「なんかあるかな」。お客様にご来店いただけるのは、「なんか」以外なにものでもないのだ。なので、我々は「なんか」を用意しておかなければならない。カテゴリ別に整然と並べることでは「なんか」は生まれない。
冒頭にも「白いキャンバスに絵を描くように」と記述したが、ヴィレヴァンは、商品を売っているのではなく、店員たちが描いた売場という「絵」を売っている。店員たちは売場に、ただただ事務的に色を塗っているわけではなく、お客様の顔をイメージしながら、「絵」を描くので、そこには想いや思想が含まれる。
出版物が売れない時代だとか、モノが売れない時代とか、ここ最近ずっと言われ続けているわけだが、それはモノの機能性を提供するだけの見方であり、それをどうデザインしていくか、どう編集していくかを考えれば、まだまだ可能性が広がっているような気がする。
ヴィレヴァンは店舗を三次元の雑誌かのように捉え、ライフスタイルや独自の切り口で売場を編集し、既存のカテゴリを飛び越えた「ごちゃまぜ」陳列を今後も進化させていきたいと思う。それにより、予想もしなかったような情報との出会いを演出し、いい意味でお客様を裏切れるような「なんか」を売る店としてさらなる成長を遂げて行きたい。
「「ヴィレッジヴァンガードに学ぶお店づくり~こんなんだってあり~」」バックナンバー
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