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ニューロマーケティングのさらなる普及に向けて広告主・制作側の理解促進が必要

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Advertimes特別企画「ニューロマーケティングの現場」のレポートも最終回となった。今回は、ニールセン ニューロによるCM分析結果のプレゼンテーションを受けて行われた、参加企業4社のCM担当者による意見交換会の模様をレポートする。意見交換会に出席したのは、コーセー 宣伝部企画・PR課 小林祐樹氏、ソフトバンクモバイル マーケティング戦略統括部 マーケティングインテリジェンス部 ブランドリサーチ課・課長 泰地加奈子氏、第一三共ヘルスケア マーケティング部広告宣伝グループ アソシエイトマネージャー 戸村雅子氏、本田技研工業 四輪事業本部 ブランド企画室 クリエイティブブロック ブロックリーダー 原寛和氏の4名。ニールセンからは脳科学者 京都大学准教授の辻本悟史氏、ニールセン ニューロ クライアントサービス ディレクター 古畑裕之氏が参加した。(進行:宣伝会議 マーケティング研究室 中澤圭介)
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被験者の無意識における反応でCMを評価
自社調査・分析とは異なる結果になることも

ーー自社でもCMを調査・分析していると思いますが、その結果と比較して今回のニールセン ニューロによる分析結果についての感想などお聞かせください。

コーセー 宣伝部企画・PR課 小林祐樹氏

コーセー 宣伝部企画・PR課 小林祐樹氏

小林 本クリエイティブは、当社でも定量調査をかけました。ニールセン ニューロによる分析は、新垣結衣さんが出ているシーンのスコアが、顔の一部分が隠れているという理由で、われわれが思ったより多少低かったという点はあったものの、基本的には想定通りの計測・分析結果だったと思っています。

第一三共ヘルスケア マーケティング部広告宣伝グループ アソシエイトマネージャー 戸村雅子氏

第一三共ヘルスケア マーケティング部広告宣伝グループ アソシエイトマネージャー 戸村雅子氏

戸村 スイーツをテーマにしたCMなので女性からの評価が高いと思っていたのですが、男性の評価が高かったのは予想外でした。また「人生、おいしく」という最後のキャッチフレーズのシーンですが、自社調査では高評価でしたが、今回の計測・分析では逆でそれほど高くありませんでした。両者で評価が分かれたのが意外な発見でした。

ソフトバンクモバイル マーケティング戦略統括部 マーケティングインテリジェンス部 ブランドリサーチ課・課長 泰地加奈子氏

ソフトバンクモバイル マーケティング戦略統括部 マーケティングインテリジェンス部 ブランドリサーチ課・課長 泰地加奈子氏

泰地 思いのほかスコアが低かったというのが正直な印象です。われわれの調査では好意度と内容訴求のバランスが良くとれているという結果で、最後のつながりやすさNo.1のグラフのシーンも高い評価でした。しかし、ニールセン ニューロの調査では最後のシーンは注目・記憶のスコアは高いものの、感情関与が低いという結果が出ていました。

結果に差が出た理由としては、自社ではアンケート方式で調査しているのに対し、ニールセン ニューロの場合は無意識な状態を計測しているからだと思います。アンケート上では良い評価をした人であっても、実際に“腹落ちしているか”どうかについては、回答とギャップがあるのかもしれません。

本田技研工業 四輪事業本部 ブランド企画室 クリエイティブブロック ブロックリーダー 原寛和氏

本田技研工業 四輪事業本部 ブランド企画室 クリエイティブブロック ブロックリーダー 原寛和氏

 モニターに参加する前から、ニューロマーケティングについては興味があり、自身で詳しく調べていました。今回のCMでも情報量を減らすなど、ニューロマーケティングからの知見を活かした作りにしましたので、基本的には想定通りでした。

ただ、このCMはドアをフォーカスした作りになっていて、いわゆる“メカっぽい”テイストが強いため、男性からの評価が高いと思っていましたが、実際には男女にあまり差がないのは意外でした。発見があったこととしては、人の体の一部分を切り出して映し出すと、見た人は不安を感じるということでした。

古畑 自社調査とは結果が異なるという点については、ニールセン ニューロによる調査は被験者に一切質問しないということが関係していると思います。

アンケート調査のように、被験者に対して「何が印象に残りましたか?」という聞き方をすると、聞かれた被験者は「聞かれたからには何か回答しなければ」と思ってしまう傾向が強くなります。

その場合の問題点は、被験者が高い評価をしても、それが好意を持っているかどうかはアンケート調査からは明らかにならないことです。その点、脳活動の計測では被験者の無意識での感情がどのようなものかが分かりますので、アンケート調査と違う結果が出たと感じてしまうのだと思います。

次ページ 「クリエーターと社内でCMを評価する人たちに必要となるニューロマーケティングに対するリテラシー」に続く



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