【前回記事】「カオス化する消費者行動が「オムニチャネル」を生んだ<デジタル・シフトVol.3>」はこちら
社内で分断化するマーケティング・テクノロジー
前回までのコラムで消費者がデジタル・シフトした時代においては、これまで様々な場面で様々な意味で使われてきた「データ」と「チャネル」という用語を再定義してみる必要があり、それらを立体的に捉えなければ複雑化する消費者の行動を捉えられなくなっていることを説明してきました。今回は、立体的マーケティングを実現する上で必要な3つ目の要素「テクノロジー」について説明します。
データを統合・分析・解析し、顧客さらには個客を理解し、リアルとデジタル両面で一貫性のあるオムニチャネルを実現する…。そのためには、「顧客(顧客データ)」と「チャネル」を再定義した上でマーケティングファネルを描き、コンテンツやコミュニケーションなどの施策に落としていくべきです。そして、その過程で利用可能なテクノロジーを選び、活用していくことも含まれます。
CMS(コンテンツ管理システム)、アクセスログ解析ツール、メール配信システムなど、すでにマーケティング部門には多くのテクノロジーが個別に利用されていると思います。顧客データベースやCRM/SFAの仕組みに関しては、マーケティング部門ではなくIT部門が担当しているケースも多く、これらのテクノロジーを包括的に取られることはなかなか難しいのが現状です。
テクノロジー中心と顧客中心
マーケティングのイノベーションを起こすには、社内における「(マーケティング)テクノロジー」の再定義が必要であり、改めてテクノロジーとの向き合い方、活用のあり方を考えていくべきです。
ここで誤解してほしくないのは、「テクノロジー中心主義」は実は「顧客中心主義」とは矛盾しない、ということです。顧客を深く知る、顧客のワガママに応えるエクスペリエンスを提供する、その両面において、いまやテクノロジーの導入なくして、実現は不可能であり、真に顧客と向き合おうとする企業は、テクノロジーを中心にマーケティングを考えざるを得ないからです。
マーケティング・オートメーションとは何か
テクノロジーの活用によってマーケティングのIT化が進み、一人ひとりの顧客に対して適切なエクスペリエンスを提供できるようになる時代が訪れています。様々な顧客接点から得られるデータを活用して、顧客コミュニケーションを最適化し、売上増加を実現できるとしていま注目されているのが「マーケティング・オートメーション」という考え方と、それを実現させる各種ツールです。
マーケティング・オートメーションとは、大量のリード(将来の顧客になりうる対象からの問い合わせや連絡先など)を属性情報や接触履歴を基に、詳細なセグメントに分けながら、個々のニーズにあったコミュニケーションをEメールなどで行い、リードを育成・評価し、確度の高い商談を創出していくことです。
例えば、まだ営業部門がアプローチしていない(CRMの中で既存顧客/商談中ではない)潜在顧客のうち、特定のテーマのEメールをよく見ており(Eメールを閲覧もしくはクリック)、関連するWebサイトもよく閲覧(自社サイトへの訪問履歴がある)している場合、同様のテーマのセミナー案内メールを送り、リアルの接点を増やそう(セミナー集客の効率化、セミナー後の商談増加)といったことを実現します。
こうしたことは、時間さえかければ手作業でも実現できそうにも思えますが、実際は、様々なツールを横断して得られたデータを統合・解析した上で、キャンペーンを実行する必要があり一筋縄ではいきません。こうしたキャンペーンの実行を支援するのが、マーケティング・オートメーションツールです。
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