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コラム

CSR視点で広報を考える

海外での10代学生利用者に拡大するSNSの法的リスクの概要

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オーストラリアでもSNS利用者に警鐘

最近、オーストラリアのMonash Universityが、1,000人以上の10代の学生、その教師及び親に対してSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の実態調査を行い、結果を発表した。主に10代の学生のSNSの利用頻度やその利用によりプライバシー、知的所有財産権や著作権の侵害、名誉毀損やハラスメントなどの深刻な被害状況を検証したもので、その結果は以下のようなものとなった。

  1. 対象となった学生の94.9%がSNSを利用していた。
  2. そのうちフェイスブックを利用していた学生は93.4%にのぼり、マイスペースは第2位で26.6%だった。さらに、学生の多くが、2種類以上のSNSを利用していた。
  3. 大半の学生が少なくとも1日に1度、自身のページに新たな情報を提供し、また、3カ月以内に、自身のプロフィールを何度か更新していた。
  4. SNSの利用目的は主にネット上での友人関係を増やすことが主目的で相互の関係は希薄であった。
  5. 対象となった親の80.4%が少なくとも過去に1度は自分の子どものSNS上でのプロフィールを見たことがあった。
  6. 対象となった学生が自らSNSを通じて提供したものは、60.9%が自身の写真、52.6%が友人の写真だった。しかし、一方で第三者の音楽、動画、有名人の写真なども提供されており、特に動画については年齢が高学年になるほど投稿される現象となっていた。
  7. 45.6%の学生が、自身の写真を友人のSNSページで公開され、その友人の行為について肖像権が侵害されたとは考えていなかった。
  8. SNSの最大のメリットは、友人や家族との絆を維持するために、最も安く効率の良いコミュニケーション機能を有する点にあると認識されていた。
  9. 学生の多くが、教師や親以上にSNSを通じたコミュニケーションが安全であると感じていた。一方で、SNS利用者の48.8%が、SNSには何らかのリス クがあると考え、28.3%がSNSは安全と考え、さらに、19.6%がリスクを感じながらも皆が利用している現実から嫌々ながらも衝動的に利用していた と回答した。
  10. 学生の多くが、ある年齢から文字だけのサイトより視覚画像の多いSNSへ誘導されたことがわかった。
  11. 対象となった学生の72.4%が自らのプロフィール開示によって、望まない、あるいは不愉快な第三者からのコンタクトを経験した。
  12. 対象となった学生の13.8%がSNSのセキュリティリスクを警戒し、さらに自身が開示したプロフィールが第三者に盗用されるのではないかと恐れ、3.2%が個人のプライバシーや外へ出したくない情報が流出する可能性を危惧していた。
  13. 教師や親がSNSについて最も心配していたことは、学生や子どもの個人情報の盗用や秘密の曝露ではなく、ネット上での誹謗中傷やいじめだった。
  14. SNSの利用に対するリスクを親、教師ともに十分認識していたにもかかわらず、親子間や教師と学生の間で、SNS利用は急速に拡大していった。この点につ き、46.1%の子どもが親と、また、74.6%の学生が教師とそのリスクについて一度も語ったことがないと回答した。
  15. 対象となった学生の中には、SNS利用時に発生する不愉快なリスクやトラブルに対して、友達申請を無視したり、アクセスできないようブロック又は友人関係 を削除したり、自身のプロフィールの開示を限定したり、パスワードを設定したりと、色々な方法で回避する方法をなんとなく理解していた。しかし、これらの 方法をガイダンスや大人に聞き、リスク回避の戦略として正しく認識していた学生は回答者の1%にすぎなかった。
  16. 36.1%の教師はSNSを教育活動の延長としてとらえ、学生に対してコミュニケーションを図るツールとして利用していた。
  17. 大半の教師は、学生に対してSNSを利用することには、何らかの法的リスクが生じる可能性を認識していたが、一方でそれがどのような影響を及ぼすのかについては鮮明ではなく、漠然と理解していたにすぎなかった。

これらの調査により、大学は、教師や親が学生や子どもに対して詳細なリスク情報を与える機会がありながら、それをしなかったことにより被害が拡大したとしており、今後、教育の現場や家庭において彼らがリスクをコントロールできるよう積極的に情報を提供し、より快適な環境でSNSを利用することを薦めている。

また、上記はオーストラリアでの大学の調査結果であるが、名誉毀損やハラスメント、個人データの盗用についてのリスクは米国の政府機関などでも警戒を呼びかけている。

白井邦芳「CSR視点で広報を考える」バックナンバー
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