コラム

ネットで人気者(もしかしたら嫌われ者かも)になるネタの生まれ方

ネットでの商品露出 ガチャピンと凡百芸能人を分ける配慮の差

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自社の商品をネット上でイヤミなく、そして「ステルスマーケティングだ!許せん!」と批判されないように紹介したいものですが、現実はなかなか難しいもの。しかし、これをサラリとやってしまっている人、いや、恐竜がいます。

ガチャピン(5歳=恐竜のこども)ですが、キャラクター界最強のブロガーであり、ツイッターのフォロワー数は孫正義ソフトバンク社長に次ぐ約104万4000人。まさに日本のネット界の「巨人」として君臨しているわけです。時々自身のブログである「ガチャピン日記」を更新しては、日常を報告しています。

10月21日の日記では雑誌から取材を受けた時の話を報告しています、「ぼくは、青虫じゃないよ。カエルでもないよ。あと、イモムシでもないよ。恐竜だよ! まちがえないで書いてくださいね」と記者に注文をつけました。

実は計算高かったガチャピンさん

これは、非常に子供らしく微笑ましい発言のように見えますが、実はネットユーザーを手玉に取った発言です。時にガチャピンはネット上で「ガチャピンが控えめなムック(※ガチャピンの相方・5歳=雪男のこども)を踏み台にして出しゃばっている」という評価をされ、叩かれることがあります。

その時の常套句が「イボ野郎」「緑虫野郎」「青虫」「緑芋虫」「クソイボ緑虫」などであるのですが(ガチャピンの腕には「エネルギーボール」と呼ばれるイボ状のものがある)、ガチャピンはこのことを指摘することにより、ネットユーザーを牽制し、さらには背後に控える膨大な量のファンから「ガチャピンは恐竜だよ!」「分かっているよ!」との後押しを獲得しているのです。

そんなガチャピンはかなり頻繁に自分に関するグッズをサラリと紹介しています。

ドロボー?-ガチャピン日記

というブログのエントリーでは、ガチャピン・ムックを模したキャリーバッグを紹介していますが、ガチャピンがムックを模したキャリーバッグを持って行ってしまったところ、ムックから泥棒扱いされたというエピソードを明かしています。

これに対し、コメント欄では「かわいいスーツケースだね!!! ガチャピンまちがえちゃうなんてかわいいなあ」などと言われます。

さらには2008年1月は、こぼしてしまったジュースを雑巾で自ら拭いた話をし、コメント欄で「えらいね」とかなりホメられましたが、ここでもサラリとキャラクター入り雑巾のPRをしています。さらには、ムックの柄の雑巾を使って床を拭いている光景を見せることにより、「ガチャピンとムックは仲悪いのでは…」との疑惑をネット上にもたらし、話題性をさらに獲得しました。

ここまで好き放題に商品紹介をしているのですが、嫌味があまりないのは、人気者であるガチャピンが紹介しているからにほかならないのですね。

商品紹介を露骨にするにしても、ヘタクソと上手、両方ある

こんなことをいうと、「そもそも私の会社のサイトへのアクセスは少ないし、商品を見てもらう機会さえあまりないし、ウチにはガチャピンみたいな人気者はいないよ!」と思われる方も多いかもしれません。そりゃそうです。フジテレビが37年かけて作ってきたガチャピンというキャラクターがネット時代に花開き、関連グッズをバンバン売り、キャラクター契約を続々と獲得しているわけですが、そこの努力をまずは認めなくてはなりません。

で、私がここで言いたいのは、「露骨な商品紹介」をしつつも、上手なケースとヘタなケースがあるということです。上手なのは「きちんとネットユーザーに配慮をしているガチャピン」で、ヘタなのは「クライアントにしか配慮をしていない芸能人」。その理由をみてみましょう。まずはガチャピンから。あと、ここではこうした宣伝活動の是非は問いません。

  • 基本的には、自分と密接に関連した商品を紹介している。
  • 商品を紹介するにしても、キチンとストーリー仕立てになっており、ガチャピンの可愛さや、日常、ムックとの関連性が見てとれるようになっている。
  • スペックや商品名をクドクドと言わない

 
一方、芸能人はブログで商品紹介する際に「見て見て! この『××クリーム』、愛用しているんだけど、●●成分と××成分が15mgも入っていて、お肌のハリがすごいの。翌朝起きたらびーっくり! 『××クリーム』絶対にオススメだよ!」なんて書いていますが、これはヘタです。もちろん、このブログのエントリーを見て買う人が多いのは分かりますし、瞬間的な「販売」の面においては「成功」と言ってもよいのかもしれませんが、敢えてヘタだと言う理由は以下の通り。

  • 商品を紹介するにしても、普通「成分紹介」などはしない。企業からの「アピールポイント」を渡され、「ここは絶対に書いてください!」と指示されている感プンプン。
  • 同じ製品を同時期に紹介している別の芸能人がいるから「やらされている感」プンプン(これは本当にヘタ。本来同時期に複数の芸能人が紹介するわけがない)。
  • お前、この商品新発売なのになんで「愛用」してるんだよ、と思ってしまう。

細かい配慮こそ上手、ヘタを分ける

そして、両者を決定的に分けているのが「URLの有無」です。ガチャピンは商品へのURLを貼りません。多分、本当に欲しい人が「ガチャピン グッズ」や「ガチャピン 雑巾」などで検索をすることによってアマゾンやフジテレビキッズの通販ページへ飛び、買うのでしょう。

一方、芸能人は「PC版はこちら」「モバイル版はこちら」などと懇切丁寧にリンクを貼って、最後には「オススメだよ!」なんて書いている。まぁ、商品仕込むにしてももっと丁寧にやれよな、お前らネットユーザーがどう反応するか分かってねぇだろ、と言いたくなるほどヘタクソなわけですね。URLを貼った方が丁寧なのは分かりますが、「強引な販売」と取られるリスクをガチャピンが回避している様子が伺えます。
 
というわけなので、商品を芸能人等に紹介してもらう時は、ガチャピンを参考にすると良いでしょう。キーワードは「ちょっとした控えめ感」です。

中川淳一郎「ネットで人気ものになるネタの生まれ方!」バックナンバー

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