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社員に支持されているCEO、トップ25

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キャリア情報サイト「グラスドア」

ティム・クックとスティーブ・ジョブス

AppleのCEOのティム・クック(左)とスティーブ・ジョブス(右)(Photo by Jeffrey)

仕事とキャリアに関するフリーの情報サイトのグラスドア(Glassdoor)が3月30日に発表したところによると、社員にもっとも支持されているCEOは、スティーブ・ジョブズの後を引き継いだアップルのティム・クック(Tim Cook) 氏。従業員からの評価をもとにした CEO の支持率ランキング「Top 25 Highest Rated CEOs」によるもので、ティム・クック氏の社員から支持率は97%となっている。この支持率は、ジョブス退任前の95%を上回るもので、それだけに大きな注目を集めている。

アンケートは、28万人のサイト利用者に対する調査結果を集計したもの。ただし、グラスドアのウェブサイトを積極的に訪問している人を対象としたCEOの経営手腕を評価したアンケートなので、全数調査、または適正なサンプリング調査ではない。とはいえ、好調な業績に加えて、従業員のCEOへの信頼も篤いというのは、アップルの勢いが今後も続くことを予感させる。

従業員からの書き込みはどこまで本当?

グラスドアには企業ごとのレビュー・ページがあり、従業員による「本音?」を読むことができる。いくつかピックアップしてみよう。

会社を愛していたよ。ただ、もっとバランスがあればと思う
(2010年までアップルで働いていたあるエンジニアのコメント)

[賛成意見(Pros)]
ただアップルで働いていたと言えるだけでかっこいい。仕事は面白いし、チャレンジングだ。プロジェクトとプロジェクトのあいだに息つく暇もなかったけど。ヒーローのように限られた時間のなかでとんでもないことをやり遂げる感覚は好きだった。それはものすごい達成感だよ。それに、一生懸命関わった製品が市場で成功するのを見るのはいいものだよ。
[反対意見(Cons)]
一番の悩みは仕事と家庭生活のバランスだね。会社のペースはキャリアの早い段階にある人たちに向いている。だけど、小さな子どもがいるような若い家族にとってはキャリアの優先度は少し控えめなものになる。残念ながら、私は仕事のプライオリティを変え、バランスをとることができなかった。アップルに戻れたらって思うけど、毎晩子どもたちと一緒に夕飯を食べる生活を大切にしたい。
[シニア・マネジメントへのアドバイス]
いまもアップルを愛している。生活と仕事のバランスをとるよい方法があったらって思うよ。

アップルの販売はこれまでで一番いい仕事だ
(現在の従業員のコメント)
[賛成意見(Pros)]
スタッフは素晴らしい(great)。アップルの 文化は親しみやすくて、素晴らしくて、ただそこにいるだけで楽しい。会社にはまだ成長の余地があって、それも強く推薦する理由だ。
[反対意見(Cons)]
1カ月以上前に休みの申請をしないといけないことが難点。
[シニア・マネジメントへのアドバイス]
マネージャーたちと一緒に働くのは素晴らしいけれど、変えたほうがいいと思うこともある。たとえば、もし、顧客がヒステリーを起こしたら、カスタマー・サービスの電話を切ってもいいってことにするとかね。

ほかにも、「素晴らしい職場」「もっともダイナミックな職場」「同僚が素晴らしい」といった発言に対して、「高い給料に手厚い福利厚生」(賛成意見)、「開店時間が長すぎる」「販売員の給料は時間が長い割によくない」(反対意見)など賛否が飛び交っている。

従業員満足と顧客満足は相関する

フリーの情報サイトのグラスドア

仕事とキャリアに関するフリーの情報サイトのグラスドア(Glassdoor)


 ※画像をクリックするとサイトが表示されます

米ジャーナリストのウォルター・アイザックソンによる伝記『スティーブ・ジョブス』や、NHKの スティーブ・ジョブズ特集では、ジョブスに傷つけられた人たちが、ジョブスを罵る様子が描かれている。それが記憶に残っている人は、アップルそのものや、ジョブス、クックと続けてCEOに対する高い評価が与えられていることに疑念を感じるかもしれない。このサイト自体が、アップルをはじめ、上位企業のリクルート目的の「やらせ」ではないか、などと疑いだせばきりがない。

しかし、業績と従業員満足度は無関係ではない。小売業界のカリスマと呼ばれたダイエーの中内功氏は、「売上はすべてを癒す」と言った。仕事で結果を出すことに集中する目的意識は職場によい緊張感をもたらし、同時に、よいパフォーマンスを求めれば、足を引っ張るよりも互いを思いやる気持ちが生まれる。顧客の声に耳を傾ける真摯な態度は、気づきや発見を促し、創造的な高揚感をもたらす。

企業の社員や元社員のコメントが読める。こうしたサイトにより「こんなはずではなかった!」といったミスマッチを防ぐことができるが、利用者側にはモラルや情報を読み解く能力も求められる。


 画像をクリックするとサイトが表示されます。

昨年度決算で過去最高の業績を記録したドイツのIT企業SAPの日本法人、SAPジャパンの安斎富太郎社長は、年頭の記者会見で「従業員の満足度が高いときは顧客満足も高く、顧客満足が高いということは従業員の満足度も高い。どちらか一方が高いという状態は長続きしない」と語った。顧客の声に耳を傾ける従業員がいれば顧客は満足し、顧客の喜ぶ顔を見て、従業員は達成感を感じ、働くモティベーションが上がる好循環が生まれる。

マネジメントはこの好循環をつくりだすためにどうしたらいいのかと悩む企業は少なくない。信頼できるリーダーの下で働くのと、そうでないのとでは、ストレスやパフォーマンスに雲泥の差が出る。世界経済の先行きが不透明ななか、リーダーと従業員との関係は、今後ますます業績の成否を左右することになるのではないだろうか。

※Top 25 Highest Rated CEOsのランキングはこちら

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