ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略―やおきん「うまい棒」【後半】

変わらぬ価格と親しみやすいキャラクターで自然と国民的駄菓子へ成長

『宣伝会議』では毎月、長く生活者に愛され続ける商品の歴史や最近のコミュニケーションを紹介する連載「ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略」 を掲載しています。発売中の4月1日号では、発売から32年間、変わらぬ価格とキャラクターで、多くの国民に親しまれてきた「うまい棒」を取り上げました。

以下、『宣伝会議』4月1日号掲載の、後半部分を転載します。(前半はこちらから)

タイアップ商品の発売によって、自然とファンが拡大

2004年にはうまい棒のパッケージでラッピングされたトミカが、翌2005年にはバンダイより「うまい棒にょっきりストラップ」が発売されるなど、やおきんでは他社とのタイアップ企画も積極的に展開している。

2011年12月にはタカラトミーアーツから「おかしなうまい棒 スティックパーティー」が発売された。同商品は、うまい棒を4分の1、6分の1、8分の1のサイズにスライスし、いつもと違う触感を楽しんだり、他の味と組み合わせて食べたりできるスナックトイ。「国民的駄菓子であるうまい棒を、みんなで楽しんで食べることができるようなおもちゃを」という考えが企画の発端にあると、タカラトミーアーツの矢野氏は語る。発売記念イベントも実施され、20代から50代までの幅広い年齢層の男女が集まり、その模様はニコニコ動画でも実況中継された。イベントの反響も大きく、当商品は初回出荷数が50万に達し、子どもだけでなく大人まで幅広い層が購入。商品のホームページには同商品を利用してつくられたうまい棒のレシピが投稿されるなど、「おもちゃ」というカテゴリーを超えて、子どもだけでなく大人も積極的に参加し、楽しんでいる様子がうかがえた。さまざまなタイアップ商品の展開もあり、その人気はますます広い年齢層へと浸透している。

最先端コンテンツから実食まで展開

うまい棒に関するもっとも新しい話題は、今年2月から配信されたスマートフォン向けアプリ「うまい棒をつくろう」だ。

畑から生えてくるうまい棒を育てて収穫するという一風変わった当アプリだが、その奇抜な内容と、駄菓子とITという斬新な組み合わせから話題を集め、配信開始したその日の夜には、無料アプリダウンロードランキングで1位を獲得。発売から6日間連続で1位を獲得し、8日間で50万ダウンロードを達成した。

アプリ「うまい棒をつくろう」1 アプリ「うまい棒をつくろう」2
アプリ「うまい棒をつくろう」の起動画面。地面から生えてくるうまい棒を収穫する。

製作したジグノシステムジャパンの石切山氏は、数年前から駄菓子とITという組み合わせで、何かおもしろいことができないかと考えていたという。うまい棒という古くから愛され続けてきた駄菓子と、スマートフォンアプリという時代の最先端をいくエンタテインメントが融合することで生まれた同アプリは、幅広い年齢層からダウンロードされた。

また、連続してランキング1位を記録したことを記念し、「うまい棒1000本プレゼントキャンペーン」を実施。ツイッターやフェイスブックから応募可能で、抽選で5名にうまい棒1000本が当たるというものだ。うまい棒という圧倒的なネームバリューを活かしたコンテンツから、実際にうまい棒を食べてもらえる機会へと発展された同アプリは、時代の先を行く商品プロモーションである。

発売から変わらない価格とキャラクターで販売されてきたうまい棒だが、変えなかったからこそさまざまなシーンで活用され、人気を深めていったと言える。

『宣伝会議』4月1日号より



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