佐藤可士和さんに質問「月に何冊くらい本を読みますか?」

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『ブレーン』では佐藤可士和さんが美大生からの質問に答える連載コーナー「美大生からトップクリエイターへの質問」を掲載しています。本記事は、『ブレーン』2012年4月号(連載第9回目)掲載記事の転載です。


連載「佐藤可士和さんに質問」こちら

Q.可士和さんは月に何冊くらいの本を読みますか?それらはデザインにも影響を与えているのでしょうか。
(多摩美術大学 グラフィックデザイン学科1年 相賀翔太)

A.いつも並行して複数の本を読みます

まとめて読むと本質が見えてくる

月何冊と数えたことはありませんが、いつも7~8冊の本を同時に読んでいます。テレビのザッピングやネットサーフィンに近い感覚ですね。情報取得のために読んでいるので、1冊読み終わって次、という読み方だとスピードが遅く感じてしまう。読み方は本によってさまざまで、途中で読むのを止めてしまうものもあるし、2回読み直すものも、一気に読んでしまうものもあります。

ジャンルはオールジャンルです。ビジネス書を中心に、政治、科学、ノンフィクション、カルチャー、人物伝、健康本、小説、絵本まで。デザインの専門書ももちろん読みます。特にビジネス書は、自分もこのジャンルで本を出しているので、どんなものがヒットしているのか、内容のボリュームはどうか、価格、同じ著者が出す頻度など、著者の視点で見ていることが多い。

書店で本を買うときは、ぶらりと訪れて、平積みされているものをまとめて買ったりします。それは、いま売れている本、話題の本を一通り見てチェックしておきたいと思っているからです。逆に、興味のあるテーマがあらかじめ決まっていて本を探すときは、ネット書店を使うことが多いですね。それも、似たようなジャンルの本をまとめて5冊くらい買うようにしています。そうすると、だいたい似たようなことが書いてあるので、その話題の本質みたいなことが見えてきたりします。

読み終わった本は、ほとんど売ってしまいます。情報が得られればいいので、所有に対してのこだわりはありません。いまはネットなどでいつでも本が入手可能ですから、特別に思い入れのあるもの以外、自宅の本棚に入れておく必要を感じないのです。

たくさん読めば本との出会いがある

本は、なるべく読んだ方がいいです。特に学生なら、読めるときにできるだけ多くの本を読んでおくことを薦めます。それも、哲学書など、読みにくいものがいいですね。難しい、咀嚼しにくいものを読むことで、考え方の幅が広がる。翻訳本もいいですよ。日本人とはものの考え方やまとめ方が違うので、視点を広げてくれます。

僕にとって本というのは、“視点を与えてくれるもの”なんです。本には一冊ごとに、ネット上の情報にはない「目次」があり、著者の視点、そして思考の流れがわかるようになっている。そこから学べることがたくさんあります。僕は自分の視点を全方位に広げたいと思っているので、多くの本を読んでいます。

本は出会い。全部が全部面白いということはありません。タイミングにも左右されます。同じ本でも、読んだときの年齢や、自分の置かれた状況によって全然違うものになる。自分の状況と本の内容がバチっと合うと、それはその人にとって特別な一冊になる。そういう出会いをするためには、やっぱりたくさん読むしかないんですよね。

読書は、音楽を聴いたり、映画を見たり、釣りをしたりするのと同じ、体験の一つととらえています。だから、特定のデザインに直接影響を与えていることはないけれど、深いところで、クリエイティブの思考に影響を与えていると思います。


※編集部では佐藤可士和さんへの質問を随時募集しています。 brain@sendenkaigi.co.jp まで[質問、お名前、学校名、学部名、学年]を書いてお送りください。
※明後日発売の最新号(8月号)では、「働く中で不満はどう解消していますか?」への回答を掲載します。こちらもあわせてご覧ください。


(プロフィール)
佐藤可士和
アートディレクター/クリエイティブディレクター。1965年生まれ。多摩美術大学卒業後、博報堂を経てサムライ設立。主な仕事にユニクロ、楽天グループのクリエイティブディレクションなど。

シリーズ【佐藤可士和さんに質問】

『佐藤可士和さん、仕事って楽しいですか?』
人気アートディレクターである著者が、学生との一問一答を通じて、やさしく、わかりやすく、ズバッと答えます。月刊「ブレーン」での好評連載にオリジナルコンテンツを加えて書籍化。

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