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コクヨ「キャンパスノート」11年ぶりのリニューアルリリースを大公開―『広報会議』2012年1月号より

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広報会議の人気連載コーナー「新任広報のためのプレスリリース道場」に掲載している記事の一部を公開。広報の第一歩である、メディアへのプレスリリースの書き方を学びたい方にオススメのコンテンツです。

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新規性、物語性などPRに適した商品

「広報会議」2012年1月号掲載 連載「新任広報のためのプレスリリース道場」より

(執筆者)
井上戦略PRコンサルティング事務所・代表
井上岳久 氏

1968年生まれ。フードテーマパークを「年間200以上のリリース」という独自の手法で復活させたPR戦略コンサルタント。月刊『広報会議』の人気連載「新任広報のためのプレスリリース道場」を執筆しているほか、宣伝会議が主催する「リリース作成講座」や「広報担当者養成講座」の講師としても活躍。

誰もが一度はお世話になったことがあるコクヨの「キャンパスノート」。秋から新しいデザインのものが店頭に並んでいることにお気づきでしょうか?今回はこのキャンパスノートをテキストに、商品リニューアルのリリースについて学びたいと思います。

私から見るとキャンパスノートは実にPRに適した商品だと感じます。私はリリースを作る時に、常に(1)新規度(2)サプライズ度(3)物語度(4)大衆度&著名度(5)社会影響度(6)地域度の6つの項目でニュースバリューを見極めています。このうち(4)大衆度&著名度については、キャンパスノートは文句なく満点でしょう。

年間1億冊消費されるのですから、(5)の社会影響度も十分。そうした商品の(6)地域度が低くなるのは致し方ないことですが、36年間愛され続け、多くの人々の記憶に残っているので(3)物語度も抜群。シェアNo.1商品のリニューアルということで(2)のサプライズ度もあります。(1)の新規度については後半で触れますが、これは間違いなくメディアがネタにしたくなる題材だと感じました。

まずタイトルに注目してください。リニューアルでなく「新キャンパスノート発売」としているところに技があります(ポイント1)。前述のとおり、リリースには6つのニュースバリューがあり、中でも(1)新規度はメディアが最も注目します。「開発サイドから、一から新しいものを作るつもりで開発を進めたので、それに相応しい表現にしたいという希望がありました。広報サイドとしても、単に既存のものを変えたのではないという点は、はっきり伝えるべきと考え、あえてリニューアルという言葉は使いませんでした」と東京広報グループの平岩和夫さん。単純なことのようですが、ぜひ言葉選びには気を配ってほしいと思います。

またこのリリースには、「発売以来36年間」、「1年間で1億冊以上」など効果的な数字が多用されています(ポイント2)。いつも言うことですが、記者にも、読者や視聴者にも、最もインパクトを与えられるのは数字です。だから皆さんもリリースを作る際は、何か使える数字はないか、意識的に探してください。ただ面白いのは、朝日も読売も記事では「11年ぶり」という数字を真っ先に書いていることで、今後リニューアルのリリースを作る際には参考にしたいところです。

リリース全体の構成も、1枚目にリニューアルの特徴3点を箇条書きにして、2枚目以降で詳しく説明するという、わかりやすく簡潔な形をとっています(ポイント3)。「ノートは表紙と中紙、背クロスの3つしか部材が無い商品です。開発経緯でのこだわりなどを詳しく説明するときりありませんが、リリースではその3つを簡潔に説明することに徹しました」と平岩さん。リリースを読んでみると、文字が書きやすいよう背クロスを強化していたり、縦線が引きやすいよう罫線途中に目印がついていたり、紙の厚さや重みを抑制して持ち運びを便利にしたり、少ない部材の中にも実に細やかな工夫がなされているものだなと感心します。この説明を取っ掛かりに、今後各社のノートを比較するような派生記事も期待できると思われ、広報担当者も時機を見ながら各メディアに働きかけていくようです。

ロングセラーの歴史をアピール

そうした技術的な話も面白いのですが、何より目を引くのが、リリースの末尾に付けられている表紙デザインの変遷です。私も過去4種類、全部使ったことがあるなと懐かしく思い出しましたが、会見でも「自分が大学生の頃はこれだった」と語り合う姿が多く見られたそうです。朝日新聞の大阪版には「思い出すのは何代目?」という見出しが掲載されましたが、「いいタイトルを付けてくださって、まさに私たちが期待したとおりでした」と広報担当者たちの意図が的中したようです。

リニューアルでなく「新」という言葉を打ち出すことは重要ですが、時代に寄り沿って生産されてきた商品については、その歴史をアピールすることも大切です。ビジュアルを並べただけでも面白くて話に花が咲きますし、メディアは世相と合わせた〝ロングセラーの歴史〞的な切り口は大好きですから、今後ニュース以外のテレビ番組でも取り上げられる可能性は大いにあると思います。

※弊社主催・ニュースリリース作成講座では、執筆者の井上戦略PRコンサルティング事務所・代表 井上岳久氏が講師を務め、リリースをその場で添削する実践的なワークショップを行っています。

※完全版は広報会議2012年1月号にて、もしくはダウンロードサービスをご検討下さい。


【「新任広報のためのプレスリリース道場」バックナンバー】